数年前にたまたま知ったドキュメンタリー映画
『EXIT THROUGH THE GIFT SHOP』
映画のポスターの右下のネズミはバンクシーのデザイン。
この映画を観た頃は日本でバンクシーがこんなにメジャーになるなんて思ってもいなかった。
簡潔に内容を表すと、街に落書きを残すグラフィティアーティストのドキュメンタリー。
といってもただのドキュメンタリーではなく、ティエリーという男がグラフィティアーティストを追う内にバンクシーの存在を知り取材をすることになるが、次第に2人の立場は入れ替わって…というお話。
つまり前半と後半で視点が180°変わる。
この映画でバンクシーが世の中に発信したメッセージは、
「世間は物事の表面だけをみて騒ぎ立て、本質が見えていない」
ということ。
作中には実際のニュース映像や大金をはたいてただの落書きを購入する富豪のインタビューなどが挿しこまれており、メディアや大衆の声に振り回される人々を嘲笑する気持ちが沸き起こる。
しかし、これはこの映画で扱われる美術界だけの話ではなく世界全体に関係する深刻な事態ではないかと当時の僕は考えていた。
この映画を観た当時「話題となる人材が豊富だ」という声を聞いた。偽作曲家だとか不正科学者だとか薬物歌手だとか号泣議員だとか・・・海外にいても届いてくるほど盛り上がっていた。それもひとつの盛り上がりが冷める頃に次が現れてまた日本中で盛り上がるという繰り返し。異常じゃないか?
僕にはこんな時何か重要なことから国民の目を逸らしているように思えて仕方ない。現に当時は集団的自衛権の行使について何も知らない人が周りには多かった。世間で注目を浴びる話題の裏にはもっと大きなものが隠れているのではないだろうか。
分かりやすいものにばかり取りついている感じに違和感を覚えていたところに出会った衝撃の映画だった。
今日はこの映画を観た時のことを思い出した。
人気アイドルの結婚もいいけど、お花見の話はどうなった?
おもちゃやお菓子で気を逸らされる子供と、何ら変わらないと思う。