ソートベーカリー

小麦粉をこねてパンを焼くように、頭の中で考えたことを文章にしていきます。

虫けら掃討作戦パン

Netflixのブラックミラー「虫けら掃討作戦」

実に衝撃的な作品だった。

ネタバレしつつ感想を書いてみる。

 

 

とある軍隊を舞台に、初任務に取り掛かるストライプという黒人男性が主人公。

その任務とは「虫けらども」を皆殺しにすること。

 

しばらくの間この「虫けら」というワードが何を表すのかはよくわからない。

 

その内、リーダーの女性が「奴らは遺伝的な欠陥から病気を発病する。虫けらを始末しなければ20年後も人類は苦しむ」と発言。

 

伝染病的な話かと推測。

 

そしてその直後に「虫けら」が姿を現す。

見るからに気持ちの悪い怪物だった…。

ストライプは瞬時に銃を放ち1匹を始末する。

更に別の1匹ともみ合いになった末、ナイフで刺し殺す。

初任務で2匹殺したことでストライプは褒められ、有頂天になる。

 

話は理解できるがテーマが見えてこない。

 

その晩からストライプは目の中に違和感を覚えるようになる。

実は虫けらと対峙した時に浴びせられた謎の光に何か影響されたらしい。

悪夢にうなされ目が覚めたストライプは、周りで寝ている仲間たちの右手の指が動いていることに気がつく。

 

なるほど、おそらく虫けらを殺すことが快感になり、夢の中でも銃を撃ちまくっているのだ。

 

そしてストライプは次の任務に就く。

チームメイトのレイマンと共に建物の中に入るやいなや、レイマンは見境なく銃を放つ。

レイマンは怪物を撃ち殺しているつもりだが、ストライプには人間を撃っているように見える。

 

ストライプとレイマンでは見え方が違うのか?

 

瀕死のストライプを助けてくれた女性が真実を語る。

軍人一人ひとりの眼に付けられたマスという装置が、虫けら認定された人間を怪物のように見せているという。

そしてストライプは虫けら認定された人々が作った、マスを無効化させる装置の光を浴びたので怪物が見えなくなっていたのだ。

 

軍に返されたストライプは科学者から真相を聞かされる。

世界大戦時、軍人は人に対して銃の引き金を引くことに負い目を感じていた。もっと撃てていれば戦争は早く終わった。

ベトナム戦争では相手を虫けら同然に見ていたので躊躇なく撃つことができた。しかし軍人の心にはトラウマが残った。

そこで生まれた策が、相手を殺しても問題ない醜い怪物に見せることだったのだ。

 

本当にブラックミラーらしい後味の悪さが最後に残る。

 

前に伊集院光のラジオで、戦闘機のコントローラがXboxのものになったという話題で、今のテクノロジーなら相手国の兵士や戦車を画面に映す際に悪いクマの絵をはめ込んで、ゲームが上手い人に「これはクマを沢山撃つゲームだ」と言うだけで戦争と知らずに戦争ができてしまう、と話していたことを思い出した。

 

常に自分以外の何かに影響されており、気づかぬうちに見る世界に色がついてしまっているのかもしれない。