ソートベーカリー

小麦粉をこねてパンを焼くように、頭の中で考えたことを文章にしていきます。

関わりたくないパン

僕は飛行機の前から36列目の席に座っていた。

真ん中に通路が一本あり、その両端に3席ずつあるタイプの飛行機だ。

 

約2時間のフライトを終え、ベルトのランプが消えた途端に乗客たちが荷物を抱えて我先にと通路に出てくる。

扉が開くまでにも、自分が出られるようになるまでにも時間が少しかかるのに、ここで立ち上がってじっとしている人を見るのは面白い。

 

前列の人から降りていく中でアナウンスがあった。

「22列目の頭上のスペースの上着を取っていただけますでしょうか」

おそらくその席のお客さんが忘れて降りてしまい、通路が一本しかないためその人も乗務員さんも取りに戻れなくなったのだと思う。

 

しばらくしてようやく後方にいた僕も通路に出ることができ、出口へ向かっていたところ、例の22列目の頭上にジャンパーが置いてあるのが見えた。

 

誰も取ってあげていない!!

 

取って乗務員さんに届けたが、僕は愕然とした。

アナウンスがあってから僕の前を行く何十人もにその機会があったはずなのに、誰一人ジャンパーを取らなかったのか…。

 

こういうことに遭遇する度に悲しくなる。

困っている人を助けることよりも、自分が何かに関わるのを避けることの方が優先されている。

というか今回に関しては、大した苦労でもない些細なことのはず。それすら出来ない。

 

逆の立場になったとき、やはり助けてもらえる社会がいいなぁ。