ソートベーカリー

小麦粉をこねてパンを焼くように、頭の中で考えたことを文章にしていきます。

お仕事パン

先月見学させてもらったドイツのおもちゃ工場の話。

 

その工場で働く140人全員が障害者だという。

健常者もいるにはいるが、従業員のサポートとして在籍しており、会社の業務には関わらない。

 

この工場では木材を加工したおもちゃを作っている。その為、仕入れた木材を切って、削って、ニスを塗り、組み立て、梱包して商品となるまでに幾つもの細かい作業工程を要する。

 

それに対し従業員は障害者といっても身体的障害、精神的障害、知的障害など様々な為出来ることと出来ないことが人によって大きく異なってくる。

 

しかしこの会社は1人の従業員に対し2年もかけて向いている作業を探すという。

たとえ向いている仕事がなくても、その人に出来ることを何かしら見つけるという徹底ぶりだ。

 

僕は以前、障害者支援に関わる友人と、障害者の職業選択について話したことがある。

あの時僕は、障害者の就労には選択肢があまりなく、ただその人に出来ることをさせているのだと思っていた。

しかし今回の工場見学で発見があった。

ここにあるのは「したい仕事」という訳ではないが、「仕事がしたい」という気持ちだった。

 

僕らが工場見学をしていると、数人の従業員が声をかけてきた。

「見て!」「僕はこうやって穴を空けているんだ」「こっちはこれとこれを繋げてるよ」

自分の仕事を説明してくれていた。

 

“自分はこの会社の役に立っている”という自覚が仕事への誇りになっているからこそ、見てほしいという気持ちに繋がっているのだった。

 

そして自分に問い直す。

自分の仕事に彼らほどの誇りを持てているだろうか?