ソートベーカリー

小麦粉をこねてパンを焼くように、頭の中で考えたことを文章にしていきます。

BRANCOパン①

去年の3月に東京大学で行われた博報堂主催のイベント「BRANCO」に行った時の話。

 

イベントの開始前、隣に座った学生と話をした。中央大学の法学部生でこれから就活が控えていると話していた。

どんな仕事がしたいのか尋ねても、業界も職種も絞っておらずただ「大手」とだけ答え、法学部に入った理由もなく、ただMARCH以上の大学を目指しただけという典型的なブランド志向だった。

 

そんな学生に対し、僕が以前は全く自分に合っていない業界で病んでしまったことと、今は逆に好きな業界で働いていて楽しく学びながら仕事をしているということを話した。

 

いよいよBRANCOのイベントが始まった。

博報堂が与えたテーマに対して、全国の大学生から新しいアイデアとその商品化、そしてそのプレゼン能力までを競うというイベントで、今日がその決勝戦、4組のグループがプレゼンバトルを行った。

 

今年のテーマは「笑い」という、いろんな角度から捉えられる難しいものだと思ったが、どのグループも全て良かったし面白かった。

 

その中の1組の話なのだが、このグループは「笑い」というものをコミュニケーションの一つとして捉え、今日を代表するコミュニケーションツールのLINEの中で使われる「笑」や「w」という表現をカウントするアプリを製作した。

ある人とのLINEのトークをそこで計測すると、「笑」や「w」が使われた数がひと月ごとにグラフになって表示される仕組みだ。実際に使ってみたが意外と面白い。

 

しかし彼らはここでブレーキをかけるようなことを話す。

「確かに人類はテストやカラオケなど物事を数値に置き換えることで優劣を分け、それによって世界は変わってきました。

しかし多くの人が“A5ランクの肉”は良いものだと思っていますが、これはすき焼き肉としての格付けでしかないことはあまり知られていません。

料理や時代や個人の好みによってその価値は大きく変動するはずなのに、数値による優劣に左右されすぎてはいないでしょうか。

このアプリを使って笑を数値化することができましたが、その数値の大小がそのまま自分と相手との距離という訳ではありません。

本当に大切なのは、数値に惑わされず自分と相手に合った距離感を掴むことです。

笑とどう向き合うかを考えてみましょう」

これを聞いて感心した。本当にその通り。

 

そして隣に座った大学生がこれをどう受け止めていただろう。

 

明日続きを書く。