ソートベーカリー

小麦粉をこねてパンを焼くように、頭の中で考えたことを文章にしていきます。

コメディとお笑いパン

僕はお笑いが大好きで、オンエアバトルは毎週録画してたし、それ以降新ネタを追い続け、まだ知名度がない若手までチェックするようになり、何回かだけど漫才を作って披露してみたこともあるし、そのうち海外のスタンドアップコメディも見るようになった。

 

ある日ドイツのコメディを見て気づいたことがある。めちゃくちゃ難しいのだ。

お客さんが今の政治情勢を知っている前提でそれをネタにして笑いを取っているから事前知識がない僕にはわからなかった。

これが日本のお笑いならなるべく多くの人に伝わるように共通認識を一通り説明してからネタに入って落とすだろうなと思った。

 

ドイツに限らず海外のスタンドアップコメディはこういうパターンが多い。みんなここまでわかってるよね、の程度が高い。だから客層も大人が多いように見えるし、わからないネタがあると悔しくて勉強してまた見に行ったりする。

 

それに対して日本のお笑い芸人のネタは老若男女皆にわかりやすいように丁寧に作っているように感じる。伝わらなければ反応がないから更にわかりやすくする。だから子供受けするリズムネタとかが流行りやすいんだろうな。

なんというか、ネタなんてテレビに出る為の名刺代わりみたいなもので、知名度を上げるきっかけにしか過ぎないと思っている芸人もいると思う。

 

と、少し前まではスタンドアップが大人のもの、日本のお笑いはやや幼稚なものという感じ方をしていたけど、少し見方を変えてみた。

 

元々海外のスタンドアップコメディは偉い王様をイジる道化師として存在したという。つまり王様には言えないけど皆が思っていることを代わりに言う存在。だからトランプでは“キング”より強いカードが“ジョーカー”だという。

だけど今の世の中、わかる人だけが着いていけるネタなんて優しくないようにも思えてきた。ここまでわかってる人だけが楽しめますよ〜ってのはなんだか嫌味な感じにも受け取れる。

そういう意味では日本のお笑い界が気軽に誰でも笑って見られるようなハードルの低さを持っているようにも見えてきた。

 

例えるなら経験者ら詳しい人達だけが熱狂して周りの人はルールすらよくわかってなくて見てもいなかったこれまでのラグビーと、“にわかOK”の雰囲気が生まれみんなで楽しめるようになったワールドカップ後のラグビーとの違いみたいなものだと思う。

 

結局のところは個人の好みでどんな笑いのスタイルを選んでもいいんだけど、やっぱり日本にもある程度は海外のスタンドアップコメディみたいな高い前提知識を要するものが増えて欲しいかなと思っている。

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