ソートベーカリー

小麦粉をこねてパンを焼くように、頭の中で考えたことを文章にしていきます。

二重思考パン

ウイルス感染状況と政府の対応がいろいろ変わってきた。

 

ニュースは連日「感染者◯◯人」「過去最多」と新規感染者数を大々的に報道するばかり。

政府は“専門家の意見をもとに”人や経済を動かす案を打ち出すけども具体的な根拠は示さない。

 

こういった状況を眺めていてふと気づいた。

これ、ジョージ・オーウェルの小説『一九八四年』に出てきた「二重思考」そのものだ。

 

二重思考」とは小説の中に出てくる政府が反乱を起こさせないよう国民に植え付ける考え方で、相反するはずの2つの事象について“Aが正しい”そして“Bも正しい”と受け入れることだ。

 

例えば昨日の、観光支援事業「Go To トラベル」について“東京発着は対象外とする”という発表に対して「じゃあディズニーランドは?」という話題が生まれていた。

あぁ、二重思考ってこういうことなんだ。

元々政府が強行して進めようとしたGo Toキャンペーンに、今じゃないでしょと反対してた声がいつの間にかポジティブな考え方にスライドされている。

 

小池都知事も同じように、新規感染者数が増えていることは「検査数を増やしたから」「東京アラートに値しない」と言いつつ、政府のGo Toキャンペーンには「考え直してもらいたい」とどっちつかずの姿勢を貫く。

そういえば都知事選での意見交換のマルバツアンケートには△を示した。

この人は根っからの二重思考の持ち主なのかも。

 

本の解説には二重思考についてこう書かれている。

我々は伝えられることが真実でないと知りながら、それが真実であって欲しいとも思っている。信じると同時に疑っているのだ。結局、多くの問題に対して簡単に態度を決めずに少なくとも二つの見解を持つことが、現在の超大国における政治的思想の状況ではないだろうか。

 

そういえば僕自身、現在の感染状況をどう捉えるべきかわからないでいる自覚がある。

「天気も悪いしわざわざ出かけることもないだろう」と外出自粛を決め込む気持ちと、

「マスクして気をつけておけばある程度街に出ても問題ないだろう。したいことはしとくべきだ」と楽観した気持ちの間で揺れ動いている。

 

東京都が発表する重症者数の少なさを理由に外に出るか、公表する内容の不確実さを理由にまだまだ引き籠るか。僕はどうやら、自分の行動の言い訳を探しているようだ。

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