NHKの特集記事より、コンプレックス広告という言葉を知った。
WEB特集 その広告 行き過ぎていませんか? | NHKニュース
太っているとか体毛が濃いとか、やたら見た目の劣等感を刺激して商品を売りつけようとする広告のことらしい。
自分でも確かにそういう広告を見たことがあるなぁと思い出す。だけど僕はそういうのは無視するものだと解釈していた。
しかしそれを不快に感じる人も多くいるみたい。当然だ。
特にコンプレックスに感じていなくても、自分はこれに当てはまるんじゃないかと強迫観念に繋がることもあるかもしれない。
更にはたとえその広告を嫌だと感じていなくても、繰り返し見た人がその価値観をすり込まれて誰かを傷つけることまであるとは思い至らなかった。
そんなことを考えていてあることを思い出した。
昔広告の仕事をしていた時のこと。営業会議で同僚が「女性が失恋したら髪を切る」例え話を出した。これは、多くの人がどこかで聞いたことがあって、ほとんど皆同意するエピソードだから広告に適している、という話の流れだったと思う。
広告だからなるべく多くの人の心に刺したいのは当然だが、「女性は◯◯」みたいな完全にステレオタイプな思い込みを世の中に広める役割をしてもいいのだろうか。実際はそんなことないと否定する女性もいるんじゃないか。
当時の僕はそこまで考えが至らなかったが、今になって多数の人の共感に沿うよりも、個人の人権について考えられるようでありたいと思うようになった。
こんな人間だから広告業界は合わなかったんだなと妙に納得がいった。
おそらく世の中は誰かの勝手なイメージや思い込みの連鎖で作られている。だからこそそれらに左右されることなく「自分はこうだ」を常に意識して生きる必要がある。