ソートベーカリー

小麦粉をこねてパンを焼くように、頭の中で考えたことを文章にしていきます。

ないものの記憶パン

僕は比較的思い出を大事にしたい性格をしている。ある種ロマンチストかも。

 

子供の頃に倉庫の掃除をしていて、母親の小学生時代のノートや教科書が出てきて、それをみんなであれこれ言いながら見るのがものすごく楽しかったのをよく覚えている。

だから自分も大人になってまた昔のノートや思い出の品を引っ張り出してきて、子供たちに見せることができたらいいなと思っていた。

 

しかし、残念ながら僕の思い出の品はほとんど捨てられてしまったらしい。実家に置いてあるものは要らないと判断されて全て処分されてしまった。

 

学生時代は勉強なんて出来なかった僕も、大人になっていろいろわかるようになり、改めてあの頃のテキストやノートを見返したいと思ってももうない。母は卒業したらもう勉強なんてしなくていいというタイプだし、父は逆に教科書の内容なんて学生時代に全部頭に入っているタイプだから捨ててもいいという結論なんだろうな。

 

え…そういうものなの?

 

友達に確認すると、割と自分の部屋はそのままになっているという意見が多かった。だってたまに実家には帰るし。

そういえば僕は実家に帰っても寝る部屋がない。客間に布団を敷くか、最悪リビングのソファで寝ている。

 

あれ?僕って縁切られてたの?ってくらい冷たいな。

 

今夏は感染症予防の為に実家に帰るなと言われ、必要だった思い出のCDを送ってもらおうとするとあっさり「捨てた」と言われた。そして必要な理由を伝えるとAmazonで注文して送ってきた。

そういうことじゃないんだよ!

 

呆れて何も言えない。

考えてみれば昔からそうだった。困ったことがあるとすぐ金で解決する。CD1枚そんな大金ではないけど気に入らない。そこに“心”が感じられない。

 

とはいえ、もうなくなったものは返ってこない。僕は頭の中の記憶と、実際には既にないものをきっちり割り切っていかないとどうにかなりそうだ。脳の努力が必要だ。

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