ソートベーカリー

小麦粉をこねてパンを焼くように、頭の中で考えたことを文章にしていきます。

エストニアパン⑤うろうろ

ふと見上げると建物の向こうに大きな教会の塔が2本見えたので向かってみる。割とすぐにたどり着いたが近くに誰もいないので入ってもいいものか悩みつつ教会の扉を開ける。中から聖歌が聞こえてくる。お、これは聖歌隊を見物できるグッドタイミングじゃないか!と思って中を覗くとなんと結婚式の真っ最中だった!そういえばこの教会の外の階段に米がばらまいてあったじゃないかと今になって気づく。まずい、このままでは教会から出てくる新郎新婦と鉢合わせしてしまう。そそくさと教会から逃げ出した。

 

さらにうろうろと歩き続ける。思っていたよりも日差しが強く、とても暑い。東京とおなじくらい暑く、湿度もものすごい。しかも地図を見ても今の居場所がわからなくなってしまった。完全に迷子だ。どっちに行こうかと迷っているうちに道路に飛び出して轢かれそうになる。だめじゃん。

 

ようやく水辺が見えてきた。これに沿って歩けば間違いなく船着き場にたどり着くはず。そんな安易な考えで歩いていくと、人が走ってきて折り返して戻っていく地点があった。どうやらマラソン大会をしているらしく次々と人が走り去っていく。中には沿道で応援している人もいたが、耳を疑うほど絶叫している。そしてどうやら僕の目指す港はこのマラソンのコースを横切らなくてはならないらしい。待つ。待つ。いつまでも待つ。やっと渡れた。港には個人所有のクルーザーが並んでいてカッコいい。中にはプール付きのクルーザーで優雅に酒を飲んでいる人もいる。こんな僕でも一度はやってみたいやつだ。そしてその向こうに見える大型の客船が僕の乗る船だ!ワクワクして近づくがそこは第1ターミナル。あれ?チケットを確認すると第2と書かれている。どうやら僕が乗る船はこれじゃない、この道のずーっと向こうだ。まだ歩かなくてはならない。普通は車とかで来るところなんだろうな、広い駐車場はちゃんとある訳だし。長い道のりを正面から太陽の光に刺されながら歩く。頭の中にデーモン小暮の『太陽がいっぱい』という曲が浮かんでくる。この道の途中で見かけた大きな像が進撃の巨人を思い出させた。何だあれは、ただただ気持ちが悪い。