NETFLIXの映画『シカゴ7裁判』に圧倒された。
舞台はベトナム戦争真っ只中のアメリカ。兵力増量の為18~24歳の若者が38万人も徴兵されることになり、学生団体がシカゴで行われる民主党大会当日に反戦デモを企画するシーンが流れ、タイトルが表示される。
本編はこの民主党大会のデモから5か月後の話だ。
デモは警官隊と衝突し暴動に発展。各グループを率いたリーダー達が起訴され、その裁判がメインストーリーとなる。
いわゆる”法廷ドラマ”なんだけど、内容はそれほど難しくなく、むしろちょっと面白くテンポ良く進んでいき、理不尽な裁判に腹が立ち、次第に夢中になっていく。
どれくらい理不尽かというと、12人いる陪審員のうち被告人を支持しそうな2人の家族に偽の殺害予告が送られ「あなたは今冷静な判断ができないでしょう」といって陪審員から外し、検察側に都合のいい陪審員が補充されるなど、わかりやすーく理不尽なのだ。
裁判長も”そっち側”で、検察にはペラペラと話をさせる一方で、弁護団の異議は悉く却下し、被告人の発言には法廷侮辱罪を適用する。更には弁護団の用意した有力な証人の証言を陪審員に聞かせないという暴挙まで行われる。
こんな風に全くもって公平とはいえないまま裁判が進められていく。というかこんなもんじゃない。
しかしどんな逆境にも屈せず、何か自分たちが主張する手段はないかと画策する被告の7人(+1人)と弁護団の態度には本当に感動させられる。
こんな強さを持ちたい、持たなきゃと思わせられるのでおそらく今後何度も見返す映画となるだろう。
これは単なる作り話ではなく当時アメリカで実際に起きた裁判だ。
ここまで被告人に屈辱的なことが”裁判所”で行われていたことは衝撃だけど、今の日本でも似たようなことになってはいないだろうか。つまり、裁判もする前から容疑がかかった人を罪人と決めつけて扱い、こき下ろし、発言権を奪ってはいないか。
推定無罪の原則を忘れ、他人の人権を奪うような真似をしているといつか自分にふりかかった時、誰も助けてくれないということも起こりうるんじゃないかな。