ソートベーカリー

小麦粉をこねてパンを焼くように、頭の中で考えたことを文章にしていきます。

街の人出パン

多くの報道番組で「街の人出」を昨年の緊急事態時の様子と比較している。

 

「昨年の3倍の人出が〜」と言うけど去年はウイルスがどんなものかわからない恐さから外に出なかっただけなんだから、今年はそれより増えているのは当然じゃないか。

「3倍」という数値も、今年の人出が急増したような口ぶりだが、昨年の人出がそれだけ少なかったという見方もあるはずだ。1人しかいないところが3人になったらそれは「3倍」なのだから。

 

どうやらやってる側も意味がないことをわかっているらしく、VTRが終わると「様々な理由で外出されているでしょうから一概に批判はできませんが」なんて言い訳で締め括る。

 

だけどそんな報道を鵜呑みにして「けしからん!」と怒る人はいる。

そりゃそうだ、自分はどこにも行かず我慢の生活をしているのにテレビの画面では「緊急事態なのに」って論調で街を歩く人の姿が映し出されれば腹も立つだろう。

僕の親戚はまんまと「バカな若者が〜」「バカが集まって酒飲むから〜」と怒っていた。

こんなとき「僕はこの1年で他人の行動にあれこれ言うべきじゃないって思うようになったよ」と言うようにしている。

人の背景なんて一言で説明できるものじゃないんだから。

 

そもそも怒りの矛先が間違っている。

テレビは国会、都道府県議会、市区町村議会を放送すべきじゃないか。

国民は自分たちの代表がどれだけ真剣にコロナ対策をしてくれているかを見るべきじゃないのか。

 

この1年間で日本の政治家がどれだけ役に立たないかを実感したと思う。

ロックダウンなどの強行策に踏み切る法律も整っていなければ、安心した生活を送るための補助もない。そのくせオリンピックやGoToのような利権の絡んだ運営だけは素早い。

そしてしまいには国民同士で相互監視させるという事態を作り上げた。先に挙げた「街の人出」なんてその際たるものだろう。

ダウンタウン松本人志が昨年の番組で「渋谷のスクランブル交差点のライブ中継見てるからな」と言ったことも忘れられない。

個人が個人を監視して「自粛警察」のような働きをすることは絶対におかしい。

 

どうしてこんなことになったのか。

答えは簡単なことで、これまでの日本人が政治家をまともに見てこなかったからだ。

祖母から以前「政治のことは政治家に任せておけばいい、素人が口を出すな」と言われたことがあるがこれは絶対に間違っている。

政治は僕たちの生活そのものだから。

だけど僕たちの上の世代が国民主権を手放しそうやって政治家に好き勝手させてきたことのツケが今まわってきているんじゃないのか。

 

「選挙に行け」と教わってきたけど、日頃から政治の話をしてないのに選挙で誰を選ぶんだ。

なんとなく知ってる人、良さそうなこと言ってる人に入れて、それっきり次の選挙まで無関心を貫く。そんな人ばかりじゃないか。

当選はスタートラインだ。選ばれた人が仕事をしているかどうかが大事なんだ。それを見ていなかった結果がこのウイルスとの1年じゃないか。

 

今僕らが怒るべき相手は街を歩いている人ではなく、のうのうとしている政治家とそんな政治家を選んだ国民のはずだ。

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