ソートベーカリー

小麦粉をこねてパンを焼くように、頭の中で考えたことを文章にしていきます。

父親という複雑パン

疲れた。

 

子供(ここでは寿限無と呼んでいます)が生まれてからもうすぐ1年。初めての子育てに奮闘してきた。

 

かつて親や親戚から「親があって子供があるんだ。親には感謝しなさい」と教えられてきたが、いざ父親になってみると「子供があって初めて人は親になる」のだなと思い知らされる。

実際、毎日おむつを替え、着替えさせ、粉ミルクを溶かすなど、これまでの人生でやったことがないことが次々と始まった。ようやく慣れてきたと思ったら今度は離乳食が始まったり、抱っこでは眠ってくれなくなったりして子育てのスキルは右肩上がりで伸び続けている。

加えて、成長に合わせてどんどん棚の上の方まで手が伸びてきたり、思いもよらないようなスピードで這い回っていたりするので、寿限無の危険予測や適正な遊びについての考えも常にアップデートが求められる。

こんな1年を過ごしているとどう考えたって「子供が親を親たらしめている」としか言いようがない。

 

大変なことも楽しいことも多い1年だったが、僕はなるべく大変だったことは発信しないようにしてきた。それは、この少子化が叫ばれる日本社会において、「子育てが大変だから」という理由で子供を持たないという思考になる同世代を増やしたくないという思いからだ。これから子供を持つだろう若い人には「子育ては楽しい」という情報が多い方がいいに決まってる。

一方で、大変な子育ての話は身近にいる"既に子育てを経験してきた人"に聞いてもらうようにしている。

 

そんな僕が最近気づいたことがある。「夫/父親の家事育児は認められづらい」ということだ。

実は子育てに加えてこの1年間ほとんどの夕食を作るなど、なるべく妻に楽をさせられるようできるだけの家事もしている。

しかしSNS上では「旦那が役に立たない」「ゴミ出しだけして家事をした気になるな」といったような"妻による夫批判"がとてもよく目立ち、バズっている。多くの人が見たことあるだろうし、いいねやリツイートをしたこともあると思う。

こういうのを見てしまうと、僕はどこまでやってももしかすると「それだけでやった気になるな」と言われてしまう気がして恐くて自分の家事育児を肯定できなくなる。

もちろん妻とは互いにできることを協力しているし、労いあっているが、それでもまだ物足りなく思われているんじゃないかという強迫観念に襲われてしまう。

かといって、WEB上に「うちの夫はこんなにやってくれてる」が増えるとそれはそれで世の旦那さん達にプレッシャーを生むことにもなるのかな。

 

何でもすぐに声が広まり聞こえてくる時代、惑わされず気楽に自分のペースを維持する必要が僕にはある。じゃなきゃ心も身体も到底もたない。

 

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