ソートベーカリー

小麦粉をこねてパンを焼くように、頭の中で考えたことを文章にしていきます。

子供の事故はマジでつらいパン

息子(ここでは寿限無と呼んでいます)が大怪我をしたのはもう3か月ほど前の話。当時ショッキングすぎて思い返すのも辛かったけど、今ならなんとか表現できそうだ。

 

ある日の仕事中、家で寿限無を見てくれている妻から突然電話がかかってきた。寿限無が怪我をして口から血が出ているようで、妻も慌てているせいか電話口での説明では状況が理解できず、とりあえず帰宅することにした。

自宅のリビングを見てようやく何が起きたかわかった。
要するに、生後9か月でつかまり立ちをするようになった寿限無は、テーブル付きの子ども椅子のテーブル部分に体重をかけ、そのままテーブルごと背後に倒れ、テーブルのふちが生えかけの下前歯に直撃してしまっていたのだった!

妻はすぐに近所の歯科に連れて行ったが、そこでは治療ができないということで消毒だけしてもらい、飯田橋にある日本歯科大学付属病院を紹介してもらったところだった。

事故直後は寿限無も大泣きしていたようだが、僕が帰宅した時点では口から出た血で服を汚しながら茫然としている様子だった。

電車を乗り継ぎ、病院に辿り着いた。見るからに痛そうな口の中は「筆舌に尽くし難い」という表現がぴったりだ。
どれくらい酷い状態かというと、ばかでかい大学病院の院長先生が直々に治療にあたり、学部生がぞろぞろと立ち会うくらいの怪我だった。

まだ1歳にも満たない乳児が黙って歯の治療を受けることなどできるはずもないので、身体拘束の同意が求められる。もちろんトラウマが残るリスクもなくはないが、今は治療が先なので悩みながらもサインをした。とはいえ治療台にぐるぐる巻きにされる寿限無を見ていると自然とこちらまで苦しくなってくる。

ギャーギャーと泣き叫ぶ横で僕も妻も寿限無の手や足を握って声をかけ続ける。いつまでも泣き続ける寿限無を見て僕らのハンカチもぐしょぐしょになっていく。今だから言えるけど、この体験があったから僕も妻も「親」としての自覚がグッと高まったと思う。子供が大きな怪我をするとこんな気持ちになるのか。

苦しくて悲しい時間は40分以上続き、歯茎を縫い、歯を固定してようやく治療は終わった。乳児の回復力はすごく傷の治りは早いし、少しずれた歯も嚙み合わせながら整っていく、なにより歯はその内生え変わるのでそこまで大きな影響はないということだった。

泣き疲れた寿限無は妻の抱っこですぐに眠りについた。歯の固定具が目に入る度に僕も妻も辛い気持ちがこみ上げてくるが、当の本人はけろっとしている。

その後も定期的に病院に通い経過観察をしてもらっているが、別段異常もなく、固定具も取れ、今では茹でた野菜を前歯でちゃんと噛んでいる。とりあえず安心だ。

 

実際に経験してわかったことだけど、子供の大怪我というのは本当につらい。出来ることならこんな思いはしたくないし、誰にもさせたくない。そんな気持ちで過ごしていると、NHKの特集でとあるNPO法人が紹介されていた。「Safe Kids Japan」のサイトでは子供に関わる事故や危険性についてのデータベースが作られ、年齢別に注意すべき点を押さえておくことができる。また、実際に起きた事故を報告することで新たに注意喚起をしてもらえるのだ。

親として子供を育てるにあたって事故の“可能性”についてはなるべく頭に入れておきたい。こういうサイトが誰でも見れるというのは本当に重要だ。

safekidsjapan.org

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