ソートベーカリー

小麦粉をこねてパンを焼くように、頭の中で考えたことを文章にしていきます。

秋のオレンジ色パン

秋になるとオレンジ色が増える。

 

当然この時期はハロウィンのカボチャのイメージから、街中のポスターとか紙袋とかにオレンジ色が使われる。

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でもね、僕が好きな秋のオレンジ色はこれじゃない。

 

これ

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金木犀

 

この季節になると路地で不意にぷーんと甘い香りが鼻に届いてくるあの感じが大好き。

 

で、毎年思うことがある。

金木犀の木って、花が咲いて初めて「あ、ここにもあったんだ」って気づかされるよね。

1年のほとんどを目立たぬように過ごしてこの秋の深まる季節にだけウワッと存在感を示す感じも含めて好きだなぁ。

1番好きな花だけど見れる時期が短すぎる。でもそれもまた良し。みたいな。

 

秋に見るハロウィンとも紅葉とも違うオレンジ色。まだもう少し見れるかな。

地球平面パン

お笑い芸人のタイムボムとぶらっくさむらいのユニット「地球人ズ」の単独ライブに行ってきた。

 

個人的にはニックのブラックジョークがもっと欲しかったけど、それでもやっぱり劇場だから言えるネタも随所に登場して楽しめた。

これをテレビとかでやると面倒なことになる。

 

本題はここから。

ライブのエンディングでニュージーランド人の芸人が「さっきの映像の地球はおかしい」と言い出した。

そこでニックが「こいつは地球が平面だと信じてる」と説明して場内は爆笑した。

でも僕は笑えなかった。

本気で主張する人を馬鹿にして笑うことはしたくなかった。

さっきまで「日本はアメリカの犬だ」ってネタで笑ってたくせにだ。

 

以前友人から、地球が平面だと信じてる人のドキュメンタリーがあると聞いたことがあったけど、リストに入れただけで観るに至ってなかった。だけどこれをきっかけに観てみようと思った。

 

「ビハインド・ザ・カーブ 地球平面説」

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これは地球平面説を唱える人を馬鹿にする内容でもなければ、その説に同調するものでもない。

人間の強さと弱さを描いた教育番組だった。

 

地球が平面だと主張する人の輪はどんどん広がっている。

彼らの多くは決して変なことを言っている人たちではなく、比較的まともな考察力を持っていることがわかる。

 

例えば地球が円型でないことを証明する為に、離れた地点に板を立てレーザー光線が当たる高さを測るという実験や、地球に自転がないことを暴く為に高級なジャイロを購入して設置し1時間様子を見るという実験をする。ちなみにどちらも失敗するが、その仮説の立て方と実験方法に関しては何も間違っていない。むしろ既存の定説を疑ってみるという学者としての素質すら感じられる。

 

ただし実験が失敗した後の彼らが残念なのは、仮説を曲げないところだ。失敗理由を実験器具や環境のせいにして「平面説」そのものに疑問を抱かない。

 

同じ主張の仲間が増えていることと、その主張のせいで周りから人が離れていくこと、そしてついに平面説を唱える人同士の対立が生まれる。

 

球体の地球はNASAの陰謀だとか、あいつはCIAのスパイだとか思い込みはどんどん強くなっていく。しかもそれを支持してくれる人がいるから主張はさらに加速する。

 

 

 

なんかこれ、他人事じゃない。

どこの世界にも対立があって、あいつは右翼だとか、金を貰ってるんだとか、なんとかして否定する材料を探してきて、

自分にとって都合の良いことだけを信じて同じ主張の人同士で集まって、相手の意見に耳を傾けることもしなくなる。

 

多分個々人はとても真面目で賢いんだと思う。

だけど人は否定され不安にさらされた時、攻撃的にもなるし防御的にもなる。否定ばかりし合って対話ができなくなる。

 

「地球は平面だ」って言われた時に、その人を馬鹿にして笑い者にする前に「何それ面白いな」って聞けるようになりたい。

僕も否定され笑われてきた人としてそう思う。

クレームパン

タレントが不祥事を起こして真剣に憤ってる人は何なんだろうと不思議に思う。

 

テレビに映るだけで押し寄せるクレームを避ける為になんとか編集で映らないようにしてるのも不思議。

少し前なら「◯月に収録したものです」って一文で済んでたはずなのに。

 

「あのタレントの件をもっと報道しろ!テレビ局はタレント事務所の言いなりか!」みたいなネットの声も見かけるけど、あなたは当事者なの?って感じ。

単純に世の中にはそれより大事なニュースが山ほどあるし、もっと怒りの矛先を向けるべき相手はいっぱいいると思うんだけども。

 

バラエティ番組のヤラセについても、怒りすぎ感がある。

あくまで“バラエティ番組”なんだからそこで起きた出来事が本当か嘘かなんてはっきりさせなくていい。というか、子供の頃は番組を見た後で「あれって本当かなぁ?」って友達と話すのが楽しかったりもした。

昔は「前人未到の洞窟に挑む!」と煽りつつカメラが前から撮ってる川口浩探検隊みたいな番組をやってて、それを見て怒るような人は逆にシャレのわからないやつだと言われたりした訳だし。

もっと言うとグルメロケとかで「どうやらこの辺に美味しい定食屋が…あ!ありましたね」っていうのもある意味ヤラセではあるよね。

クレームばっかり入れて他人の楽しみを奪うような人はドキュメンタリーだけ見てろって思うし、ドキュメンタリーだって監督や編集者の意図は入るんだからもう何も見るな、自分の人生を生きろ!って言いたい。

 

僕ももうほとんどテレビ観てないけどね。

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あとさ、抗議したいなら表に出ろよって。

スマホで済ませるなよ。

香港とかバルセロナとか見ろよ。

通り過ぎないパン

再来年から始まる大学入学共通テストに導入される英語の民間試験の仕組みが取り沙汰されている。

 

萩生田大臣の発言で若干スポットが強まったかなと思うけど、世間全体でこの問題に関心が薄すぎるんじゃないの?と思う。

 

けどその理由ははっきりしていて、ほとんどの人が受験生じゃないから、そういうことだろう。

 

僕自身、人並みに高校受験や大学受験や就職活動をしてきた。

その頃から頭の隅では、このシステム変じゃないかと疑問に思っていた。

 

今の日本人の生活が画一化されてしまっているので、高校受験に疑問を感じていても終わってしまえば次は大学受験が待っているし、大学受験の疑問も次には就職活動が待っていて、就活の疑問も就職すれば今度は日々の仕事をこなすのに精一杯というように、人生を振り返ってこのやり方は変えるべきでは?と声を上げる余裕がないのだと思う。

 

その結果、新しいルールを作るのはお国の仕事で自分の子供達もそのルールに従うしかないという有り様。

 

自分は通り過ぎた問題だとせず、当事者が困っていることに目を向けられるようでいたい。

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応援の力パン

ラグビー日本代表が初のワールドカップベスト8という功績を挙げた。

 

自国開催であることで、元々のラグビーファンも、これを機にルールを初めて覚える人も入り混じって、スタジアムだけじゃなくパブリックビューイングや駅の待合室のテレビの前でも盛り上がりを見せていた。

 

選手たちの頑張りはもちろんだけど、そんな日本中の応援がチームの力になって快進撃を後押ししたことは間違いないと思う。

というか、応援にはこんなにもパワーがあるのかと思い知らされた。

 

ここ数日、東京五輪のマラソン競歩の競技を札幌で行う案が出て、東京都知事らは是非東京でと食い下がっている。

選手が万全の状態で望めるよう手配するのは当然だし、調整期間を考慮すればなるべく早く決定してほしいところ。

そんな中で東京側から出た案が“午前3時スタート”。なるべく涼しい時間帯にしたいのはわかるけど、そんな時間のマラソンを誰が応援するんだと思う。

ここでさっきの応援の話に戻るけど、マラソンなどは特に「声援が力になる」という言葉をよく耳にする。

深夜3時の路上にどれだけの人が応援に出かけるだろう?

そう考えると選手の120%の力を引き出すのはその時間帯ではないような気がしてきた。

 

また少し話は変わって、プロ野球オリックスバファローズ

僕は楽天ファンだからいつも見てる訳じゃないんだけど、対戦すると京セラドームは空席が多いイメージがある。

平日だけじゃなく土日でも埋まっているのをあまり見かけない。

 

ファンの応援が選手の力になるんだけど、

チームの勝利がファンを集めることにもなる。

当然チームが弱ければファンは減るし、

ファンが少ないと選手も盛り上がらないのかもしれない。

 

具体的な数値がある訳じゃないけど、どのスポーツでも「ホーム有利」って考え方はあるから、やっぱりそうなんだと思う。

応援の力は凄い。

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上手と下手パン

たまたまこの記事を見かけた。

 

何気ない「ダメ出し」が子どもに残す傷、92歳の超ベテラン保育士が警鐘(ダイヤモンド・オンライン) - Yahoo!ニュース

 

自分も子供の頃誰かから「絵が下手」と言われてからなるべく絵を描くことから離れるように生きてきたからよくわかる。

今では絵が下手でもいいし、描きたいことを描けばいいものだとわかっていながら、まだ遠い存在になってしまっている。

 

子供の頃に受け取る言葉の威力はそれだけ大きい。

 

以前としくらえみさんのワークショップに参加した際に子供にかける言葉について教わったことがある。

子供がクレヨンで絵を描いたり、粘土で何かを作った時に「上手だね」言ってはいけないという。

それはなぜかというと、芸術に正解はないのにその子が次から褒められるために「上手」を目指してしまうことが良くないのだとか。

だけど褒めてはいけないのではなくて、途中で投げ出さず完成させたことや前まで出来なかったけど新しく出来るようになったことを存分に褒めてあげればいい。

 

また、保育園などでは「これ、みんなに見せてもいい?」と尋ねることも子供の自己肯定感を満たすことに繋がると思う。

 

前にも書いた

あんな人パン - ソートベーカリーように、

大人から子供にかけられる言葉は威力抜群なので、気をつけておきたい。

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心に残る物語パン

ロードオブザリング/二つの塔」のラストでサムが苦しい気持ちを吐露する場面がある。

 

心に深く残る物語の中に入り込んだ気がします。暗闇と危険に満ちた物語。

明るい話になり得ないので結末を聞きたくない。悪いことばかり起こった世界が元に戻ります?

でもこの暗闇もいつかは消え去ってゆくでしょう。暗黒の日々にも終わりが、新しい日が来ます。そして太陽がより明るく輝く。そういうのが心に残る意味の深い物語です。

子供の時は分からなくても、なぜ心に残ったのか今はよく分かる気がします。

物語の主人公たちは決して道を引き返さなかった。何かを信じて歩み続けたんです。

この世には命を懸けて戦うに足る尊いものがあるんです。

 

この台詞だけでこの映画を観てよかったと思える。

子供たちに絵本や児童書を読んであげることの素晴らしさを見事に表現している。

たとえ全ての意味が分からなくても、希望に満ちた物語は子供たちの心に届くんだと、この物語を書いたトールキンは伝えている。

 

やっぱり“物語”は偉大だ。

僕自身、子供の頃に読んだ絵本や祖母から聞いた昔話などをよく覚えている。

子供時代に出会った数々の素敵な物語がその人の将来を明るく照らしてくれる、そんな気がする。

だから今子育て中の人、これから親になる人、子供と関わる全ての大人が「心に深く残る物語」を知って子供たちに伝えていって欲しいと切に願う。

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