ソートベーカリー

小麦粉をこねてパンを焼くように、頭の中で考えたことを文章にしていきます。

地球平面パン

お笑い芸人のタイムボムとぶらっくさむらいのユニット「地球人ズ」の単独ライブに行ってきた。

 

個人的にはニックのブラックジョークがもっと欲しかったけど、それでもやっぱり劇場だから言えるネタも随所に登場して楽しめた。

これをテレビとかでやると面倒なことになる。

 

本題はここから。

ライブのエンディングでニュージーランド人の芸人が「さっきの映像の地球はおかしい」と言い出した。

そこでニックが「こいつは地球が平面だと信じてる」と説明して場内は爆笑した。

でも僕は笑えなかった。

本気で主張する人を馬鹿にして笑うことはしたくなかった。

さっきまで「日本はアメリカの犬だ」ってネタで笑ってたくせにだ。

 

以前友人から、地球が平面だと信じてる人のドキュメンタリーがあると聞いたことがあったけど、リストに入れただけで観るに至ってなかった。だけどこれをきっかけに観てみようと思った。

 

「ビハインド・ザ・カーブ 地球平面説」

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これは地球平面説を唱える人を馬鹿にする内容でもなければ、その説に同調するものでもない。

人間の強さと弱さを描いた教育番組だった。

 

地球が平面だと主張する人の輪はどんどん広がっている。

彼らの多くは決して変なことを言っている人たちではなく、比較的まともな考察力を持っていることがわかる。

 

例えば地球が円型でないことを証明する為に、離れた地点に板を立てレーザー光線が当たる高さを測るという実験や、地球に自転がないことを暴く為に高級なジャイロを購入して設置し1時間様子を見るという実験をする。ちなみにどちらも失敗するが、その仮説の立て方と実験方法に関しては何も間違っていない。むしろ既存の定説を疑ってみるという学者としての素質すら感じられる。

 

ただし実験が失敗した後の彼らが残念なのは、仮説を曲げないところだ。失敗理由を実験器具や環境のせいにして「平面説」そのものに疑問を抱かない。

 

同じ主張の仲間が増えていることと、その主張のせいで周りから人が離れていくこと、そしてついに平面説を唱える人同士の対立が生まれる。

 

球体の地球はNASAの陰謀だとか、あいつはCIAのスパイだとか思い込みはどんどん強くなっていく。しかもそれを支持してくれる人がいるから主張はさらに加速する。

 

 

 

なんかこれ、他人事じゃない。

どこの世界にも対立があって、あいつは右翼だとか、金を貰ってるんだとか、なんとかして否定する材料を探してきて、

自分にとって都合の良いことだけを信じて同じ主張の人同士で集まって、相手の意見に耳を傾けることもしなくなる。

 

多分個々人はとても真面目で賢いんだと思う。

だけど人は否定され不安にさらされた時、攻撃的にもなるし防御的にもなる。否定ばかりし合って対話ができなくなる。

 

「地球は平面だ」って言われた時に、その人を馬鹿にして笑い者にする前に「何それ面白いな」って聞けるようになりたい。

僕も否定され笑われてきた人としてそう思う。