ソートベーカリー

小麦粉をこねてパンを焼くように、頭の中で考えたことを文章にしていきます。

声を上げるパン

中学生の頃に合唱コンクールがあって、経緯は忘れたけど自分が指揮をすることになった。

 

体育館のステージを借りて合唱の練習をする時に雛壇の最上段右端でそれは起こった。

背が高いけどひ弱な男子が数人のクラスメイトから小突かれて繰り返し雛壇の後ろに落とされていた。

クラス全員で合唱している中のほんの端っこでの出来事だからみんなも先生も気づいていないし、近くの人も見て見ぬふりの状態だったと思う。

ただ僕だけは正面から彼らの様子が見えていた。

 

無駄に真面目な性格の僕の頭に“いじめをやめさせる”みたいなものはなく、ただただ合唱コンクールの練習をちゃんとやるために思い切って「◯◯に触るな!」と言った。

 

それっきり彼は嫌がらせを受けることがなくなった、という訳ではないけど、今度は「触るな!」ってフレーズが影で揶揄されるようになった。

 

一度は恥ずかしい気持ちにもなったけど、見て見ぬふりをしていた人達も一応見てはいる訳で、いつの間にかクラスの保護者同士で僕の話になっていたことを後々知ることになる。

 

何が言いたいかというと、おかしなことに対して声を上げることは簡単なことじゃないし逆襲を受けるリスクもあるってこと。

そして周りの人は勇気を出して行動に移した人に自分達も味方だよって態度を早く示さなきゃ不安になるってこと。

 

今の自分に当時ほどの勇気があるかというと正直言ってないと思う。

だけど身近にそういう人がいたらすぐに味方だと示せるようではいたい。

またいつか勇気を出せる自分になるために。

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