ソートベーカリー

小麦粉をこねてパンを焼くように、頭の中で考えたことを文章にしていきます。

長いものに巻かれるパン

人気YouTubeチャンネル『QuizKnock』で毎年恒例となっている「12時間クイズ」という生放送企画が行われた。

クイズ大会開始前に「3回目にして今回はなんとスポンサーがつきました!」と発表され、スポンサーのロゴや商品が紹介された。

これについて、グループのメンバーが喜ぶことには納得がいくのだが、なんと視聴者がコメント欄で「やったー!」「すごい!」と喜んでいる。意味がわからない。

おそらく細々と始めたYouTubeの動画が徐々に人気を得ていった結果としてのスポンサー獲得を祝っているんだろうけど、ここに違和感がある。

 

スポンサーって、企業が宣伝効果を期待して商品や資金を提供するものなんだから、つまり本来視聴者の好みとは全く関係がないはず。

そもそもテレビやYouTubeの「広告」には多くの人がうんざりしていて“飛ばすもの”だと思っていたんだけど、こと今回については喜んでいる人が多いのに驚いた。

“有名企業から認められたこと”を出演者でなく視聴者が祝っていることに僕は疑問を感じたのだ。

 

話は変わってラジオ番組『水溜りボンドのオールナイトニッポン0』にロンドンブーツ1号2号田村淳が出演した回を聴いた。

淳は人気youtuberである水溜りボンドの2人に、「事務所を出れば?」「オールナイトニッポンの時間にラジオをやれば?」と次々と提案する。

その言い分としては、既に確立された人気のある2人は事務所を出た方がもっと自由に活動できるということ、このまま「2部」と言われる『オールナイトニッポン0』を続けても不動の「1部」に昇格することはないから独自メディアで同じ時間帯にラジオをやって勝ち取るしかないということだった。

これに対し水溜りボンドの2人は「そんなこと言わないでください!」とリアクション。芸人的な受け身を取っただけで本心まではわからないが、ここでも”大手事務所や主要ラジオ局であること”に重心を置いたような発言が気になった。

 

いつからこういった「長いものに巻かれる」意識が棲みつくのかわからないが、実際にこうして一発当てたyoutuberですらそうであるように、「強い者に従っておいた方がいい」といった考えは多数を占めていると思う。

 

今日9月14日。自民党総裁選の結果として菅義偉首相の就任が確定した。

この人はこれまでも人事権の掌握を武器に“気に入らない者”を切り捨て、言わずとも従わせる「忖度」文化を作ってきた張本人だ。実際に、官房長官会見で東京新聞記者の質問に口を挟んだ上村秀紀報道室長は7月末付けで異動となり、内閣府沖縄総合事務局の総事務長に就任している。わかりやすい。

内閣府 沖縄総合事務局 - 沖縄総合事務局幹部職員名簿

しかも2世でない彼は出身を気にせず昇格させてくれる可能性もあり、出世を目論む官僚からすると是が非でも気に入られたい存在でもある。

 

そう、この国では誰もが自分より上の者の顔色を伺いながら、へまをして足元を掬われることのないよう慎重に行動しているし、なんとそれが唯一の正解とされている。

かくいう僕自身も不自由を感じながらそういう場面でそういう行動をしてしまっている自覚がある。

波風立てるよりはとりあえず強い者に従っておく、という考えではこの国は益々悪くなるだろうな。

f:id:mumusanopinojr:20200914220643j:image

写真は海外の美術館で見た、スポンサーにがんじがらめの人。