職場以外完全に自宅で過ごしている中で良かったものを紹介していく。
堀潤著『わたしは分断を許さない』
ジャーナリストの堀潤のこの10年間の取材をまとめた同名の映画と合わせて発表した本書には、福島や沖縄など国内に限らず、パレスチナやスーダン、さらには北朝鮮やつい最近の香港まで、直接その足で向かい、その目で見て、その耳で聞いてきたことが書かれている。
更に取材を重ねるにつれてこの10年間で著者が気づき、学び、反省したことまで載っている。
凄まじい執念が篭ったまとめの1冊だと思う。
タイトルが示すように大枠のテーマは「分断」
世界のあちこちで、本来共に暮らしていけるはずの人々が揉めている。
それらの現場で彼はニュースに取り上げられづらい小さな声を拾い発信していく。
分断の原因は行政だったりメディアだったり、また人々の弱さだったりもするんだと受け取った。
「遠い街の知らない人の話でしょ」と一蹴するのは簡単だけど、どこかで起きているということは自分にも降りかかる可能性があるということ。
身の回りに新たな分断を生まない為にも、僕らは冷静にならなくちゃいけないし、メディアにも行政にも思わぬ誤解を生じさせないように求めていかなくてはいけないような気がした。
本書を読むと知らない世界が沢山あるなと思い知らされる。
今はなかなか外出ができないが、この事態が収まった頃には、知らない土地の知らない話を聞きに出向いてみたくなった。
日本のニュース番組の司会者でここまで現地に入って取材を重ねる人は他にいないんじゃないか。堀潤は本物のジャーナリストだ。