ソートベーカリー

小麦粉をこねてパンを焼くように、頭の中で考えたことを文章にしていきます。

信じる者は救われないパン

NHKのインタビューで池上彰が平成最大の事件はオウム真理教だと答えていた。

 

この事件の背景には、バブル崩壊など様々な要因で将来に不安を覚えた若者達の心理があると解説していた。

 

確かに大きな不安を抱えた人達にとって、「信じれば助かりますよ」という声は心強く聞こえてしまうものだと思う。

そうやって宗教に傾倒すること自体を否定はしないが、そこでもやはり自分の判断力というものが求められると思う。何でも信じていい訳ではない。

 

オウム真理教の事件を知っていれば、怪しい勧誘に気をつけようという意識は生まれるかと思う。

 

しかし本当に気をつけるべきはもっと日常に近いところにあると思う。

 

知り合いのおもちゃ屋さんの話。

あるおじいさんがおもちゃを探して訪れた。

「あの、藤井聡太が幼少期に遊んでいたおもちゃを買いたいのですが」

史上最年少プロ棋士が遊んでいたことで一気に人気に火がついたキュボロというビー玉を転がすルートを作るおもちゃのことだ。

そのブームのお陰もあって日本中で売り切れ続出。予約も2年待ちという状態だった。

当然その店にもなかったので、知り合いはべつのメーカーでビー玉を転がすルートを作るおもちゃを提案したが、

「キュボロじゃないなら要らない」とあっさり断られてしまったという。

さっきまでキュボロって名前も知らなかったじゃないか!!とも言えず、悲しい時間を過ごすことになる。

 

こんなことが本当によくある。

 

子供を賢く育てたいという大人達がこぞってメディアで紹介されたおもちゃを買い漁るのだ(同じように賢くなるはずもないのに)。

 

同じように「有名人の◯◯が痩せた!」と言われればそれを求め、

「アイドルの◯◯さん愛用」と言われれば自分も欲しくなる。

こうなった人達はもはや、メディア真理教と呼べるだろう。

 

いつも言っていることだが、自分が好きなものを自分の力で選ぶことが大切だ。

もちろん好きな有名人がいて、その人と同じ物を持ちたい時もあるだろうが、その衝動はどこから生まれたものか、自問してみることも時に必要だと思う。