ソートベーカリー

小麦粉をこねてパンを焼くように、頭の中で考えたことを文章にしていきます。

大人が無意識に押し付けてるパン

「#おもちゃに性別いるのかな」と題してりゅうちぇるがインスタライブを行った。

 

以前から何度か書いているように、僕は日本のおもちゃ業界に蔓延る性差を問題視している。

おもちゃの根深い性差パン - ソートベーカリー

おもちゃの根深い性差パン続報 - ソートベーカリー

 

そして今回はりゅうちぇる自身が子供の頃にかわいいおもちゃで遊びたい気持ちを押し殺してかっこいいおもちゃを選んでいたという体験から、親になって自分の子供には性別を押し付けないようにしたいという考えが押し出された企画だったので、かなり楽しみにしていた。

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実際、インスタライブの序盤はりゅうちぇる本人のエピソードを通して「女の子が戦隊ヒーローが好きでも良いよね」「男の子が可愛いお人形が好きでも良いよね」といった展開になっていたのだが、すぐに話は転換されていき、スポンサー企業の商品紹介へと移っていった。

 

「#おもちゃに性別いるのかな」と題しているので、当然性差を意識しないおもちゃが紹介されるものと思っていたが、出てきたのはキティちゃんの人形だった。

 

りゅうちぇるのテンションで「かわいい〜!」「すごーい!」と盛り上げ、ライブ配信を見ている人のコメントにも「可愛い!」「欲しい!」が並んでいたのを見て違和感があった。

 

さっきまであんなにも、「これは男の子のもの」「これは女の子のもの」のような大人が子供に価値観を押し付けることはやめようと話していて共感していたはずの人達が、「これはかわいいもの」と思いっきり決めつけて全肯定していたのだ。

想定している年齢の乳児が自分より大きいキティちゃんを見て「かわいい」と感じるより「怖い」と感じる可能性だってあるし、ましてやどこからともなくメロディが流れてくるのは混乱を起こすこともある。この音が「優しい」というのも大人の“主観”のように思えた。

 

また、ロッキングチェアの紹介では「リラックス振動」の機能について「これは嬉しい!」と言っているのもやっぱり振動するマッサージ機が気持ちいいことを知っている大人の感想で、座っている子供からすると突然震え始める椅子なんてパニックでしかない。「何が起きたの!?」ってなるでしょ。

 

前半のりゅうちぇるのおもちゃの性差についての考えは良かったのだが、やっぱり最後には大人側の決めつけについて無自覚なおもちゃメーカーの姿勢をまざまざと見せられた。

有名人が企業とコラボするとこうなることはわかってることだけどね。せめて自身が使ってみて良かった物を紹介して欲しいかな。

 

そしてこれはインスタライブの特性なんだけど、どうしても普段からりゅうちぇるの言動を好きな人が見ているものなので、全く批判的なコメントがなかった。SNSの誹謗中傷が問題になる昨今、一見それは良いことのように思えるが、りゅうちぇるが「良い商品」と言ったから「良い商品」なのだと受け取るのは間違っている。どうしてだろう?本当かな?と立ち止まって考えることも大事ではないだろうか。