ソートベーカリー

小麦粉をこねてパンを焼くように、頭の中で考えたことを文章にしていきます。

迷惑かけてないパン

満員の電車に乗る時、ドア脇のところに立って本を読んでいる女性がいた。

 

僕の後ろにも乗る人がいたので、

「こういう時なんで本をしまってもらってもいいですか?」と尋ねた。

すると、

「迷惑かけてませんけど?」と返された。

「みんなが少しずつでもスペースを作れば…」と言うと渋々本をカバンにしまってくれた。

 

確かにその人は直接的に迷惑はかけていないと思う。

しかし僕の後に乗ってきた女性のカバンにマタニティマークが見えた。妊婦さんにとって満員の電車は不安な環境だと思う。もし大きく揺れたりした時に、どこか掴んだり手をついたりするところがある方がいい。そんな時に本を読んでいる人がいたら遠慮して手を出せないかもしれない。

本をしまうことで咄嗟の時の安全の可能性を少しでも作れるとならば、やはりしまった方がいいよなぁと車内で考えていた。

 

「自分は誰にも迷惑をかけてない」と思うより

「もしかしたら誰かの迷惑になっているかも」と考える社会の方が優しくないだろうか。

 

僕は悩んでいる。

 

あの状況で、妊婦さんに何か声かけはできなかっただろうか。

「狭くないですか?」とか尋ねてみたらどうなっただろうか。

 

本を読んでいた人に対してもだ。

ただ本をしまうように指図されてムッとしてないだろうか。

「何の本ですか?」とか気軽に話してみたらどうなっただろうか。