話題になっているあいちトリエンナーレに行ってきた。
展示の1つ「表現の不自由展 その後」が脅迫を受けて中止となったのは知ってたけど、その他にいくつか見られない展示があって驚いた。
各展示室の前に作家本人のコメントが貼ってあり、経緯が説明されていた。
それらは「表現の不自由展」が脅迫や国の検閲を受けて中止を決断したことに対する抗議としての取り下げだという。
作家にとって「表現の自由」は他の何よりも守るべきもので、検閲などを受け容れてはいけない。
美術展参加作家に説明もなくそのような決断をしたことに憤りを覚えている。
という内容だった。
中には作品の取り下げこそしていないが、展示内容を変更した作家もいるという。
外国人労働者のコミュニティのパーティの様子を映像で流し、その映像を流す展示室に実際にパーティで使用した壁飾りがしてありピザの匂いまで仕掛けられているものだったらしい。
それが「表現の不自由展」の中止を受けて、映像を流すことをやめ、電気も消して薄暗い部屋で飾りが散乱した状態を作り上げ、これを“作品”とした。パーティの終わりを表現したその展示は作家の悲しみと怒りを表していた。
本来の姿で見れないものに関しては残念としか言えないし、それぞれの作家達の主張は真っ当なものだから支持する。
ただ、それら抜きで見ることができた展示に関しても本当に満足のいく内容だった。
日頃あまりアートに興味もなく、美術館など行くことのなかった自分が、こんなにも展示品に感銘を受け心がざわつく体験をするとは思っていなかった。
本当にいろんなことを考えたしメモしたし、また「はなす」というコーナーでスタッフの方とお話しをすることで自分の中の別の感情と繋げて更に気づくことができた。
人は知らないもの・見たことのないものに出会うと不安感を覚えるというが、まさにここにあるアート作品がその役割を果たしているように思えた。アートが平穏な心の池に石を投げて波立たせてくる感じ。
だからこそ「あいちトリエンナーレに行って楽しかった!」と言ってる人が不思議で仕方がない。
以前堀潤のラジオ番組に出演した村西とおるが「覚悟もなしに表現の自由を語るな」と話していたが、作り手が本気だから受け手も本気になる。表現というものがこんなにも尊いものかと知らしめられた1日だった。