ふと思い出した夏の日の出来事を書いてみる。
多分中学生の頃。地元の夏祭りに数人の友人と自転車で行った。そんなにお金も持ってないし、そんなに欲しいものもない僕らはホットドッグとかき氷を買って食べたような気がする。ゴミを捨てる場所が見つからず持ち歩いた記憶がうっすらとある。
そしてメインイベントの花火が打ち上がった時、僕は何故か急にノスタルジックな気持ちに襲われた。「先に帰るわ!」と言って友達と別れ、自転車に乗り花火を背にして走り出した。
およそ50分、僕はドーンドーンという音だけを聞きながら自転車で家の前を通り過ぎて更に先にある親戚の墓に向かった。墓の前で自転車を降り、入り口の階段に腰掛けて空を見上げた。その時はもう花火は打ち上がっていなかった。
花火には死者を弔う意味があるというのはもっと後になって聞いた話だけど、その日僕は墓に眠る先祖に対して感謝を伝えたい思いが強かった。楽しい夏祭りの花火より大切な気がしたし、ただ単に人とは違う自分を演出したかっただけなのかもしれない。
だけど時々思い出すあの日の僕は何かもっと純粋な気持ちで一心不乱にペダルを漕いでいた。
そう思い込みたいだけかもね。