ソートベーカリー

小麦粉をこねてパンを焼くように、頭の中で考えたことを文章にしていきます。

モモパン①ドイツ語検定の心構え

不意に誘われドイツ語検定を受けることになった。

学生時代に3級を取っていたし、それから知識も多少増えた自負があったので1か月ちょっとあれば2級には受かるだろうと考えていた。

しかし一緒にドイツ語を学んできた友人から「準1級でしょ」とけしかけられた。たとえ今回受からなくても、受かるために勉強を続けていけばその内2級のレベルは超えているという理屈だった。

それを聞いてなんだか2級でお茶を濁そうと考えていた自分を省みた結果、準1級を申し込んでしまった。

 

そして今、そのことを猛烈に後悔している。

まずは2級の過去問から解いていって段々慣らしていこうと取り組んでみたはいいが、ほとんど解けない。全くわからないならまだしも、わかったつもりのところで間違えている。そして解説を見て自分が間違えた内容が全然難しくないことに気づく。つまり知っていることが答えられなかったのだ。

 

これは大変だ。あと1か月で準1級なんて挑戦できるはずがないと毎日焦るようになった。昼間の仕事中も焦る気持ちに苛まれて落ち着かない。

そして気がついた。学生時代もこうやって勉強が苦手になっていったんじゃないか。テスト対策として問題を解くけど、間違えたところばかり目について自分のできなさにどんどん落ち込んでいってやる気を削がれてしまう感じ。

 

結局そういうやり方では自分の中に残らないということはよくわかっている。だったら変えてみよう。僕は意外と好きで調べたり本を読んだり考えたりしたことはかなりよく覚えているし、全く違う2つのことを頭の中で結び付けることもよくしている。そうして楽しく知識をつけてきた。だったら今自分が興味のあることをドイツ語でやってみよう、そう考えた。

そして手に取ったのが『モモ』だ。

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実はドイツ語版は何年も前にドイツの本屋で買っていて、30ページくらい読んだところで挫折していた。しかし先日NHKの番組で紹介されていたのを機に、ちゃんと読んでみたいと思っていたところだったのだ。

『モモ』のドイツ語版と日本語版を用意し、まずドイツ語で読んだところを日本語で確認する。意外に今の自分でも読めるところは自信になるし、知らない表現はその場で学んでいける。そして物語として面白いので毎日続けていける。

 

作中にこんな場面があった。

道路掃除のおじいさんが到底やりきれないほど長い道路を受け持った時の心構えについて、せかせかとスピードをあげて働いてもなかなか終わらなくて息が切れてしまうだけだと説くシーンだ。

「一度に全部のことを考えてはいけない。次の一歩のことだけ、次の一息のことだけ、次のひと掃きのことだけを考えるんだ。すると楽しくなってくる。楽しければ仕事が捗る。そして気がつけば全部終わってる。どうやってやったか自分でもわからない」

 

まるで焦る自分に言われているようだった。