ソートベーカリー

小麦粉をこねてパンを焼くように、頭の中で考えたことを文章にしていきます。

AI婚活パン

「AI婚活」という言葉が話題になった。

政府から費用負担して婚活支援しようと提案されたのだ。

 

従来の婚活イベントやマッチングより更に細かい個人の内的な相性をAIが計算してベストな2人を引き合わせてくれる。なんだか近未来感があるしワクワクする人も多いだろう。

 

ただ僕はこれを聞いて真っ先にブラックミラーの『Hang the DJ』というエピソードを思い出して見返してみた。

舞台はまさに近未来。AIが示す待ち合わせ場所にて男女は知り合い、定められたデート時間を確認する。それは12時間だったり半年だったり1年だったりする。デート時間が終わると2人は別れ、また別の相手とマッチングされる。これを繰り返してデータを集めて最終的に相性抜群の相手を選んでくれるという設定だ。

 

このエピソードの中で出会った男女がこんな会話をする。

「昔の人は無数の中から恋人を探さなくちゃいけなかったなんて…」

「しかも別れる理由もいちいち考える必要がある」

これは痛烈だ。自動的に巡り合うことが当たり前になるということは、自分で恋人すら選ばなくなるということだ。

そして期間が終わればサヨナラなので別れで拗れることもない。別れたい別れたくないと悩んで切ない気持ちになる必要もないのだ。

 

SFの話だと笑い飛ばしたいところだけど、実際それに近づいているように感じる。だって自分で決めることが減ってきてるでしょ?

買い物に行っても「欲しいから」じゃなく「安かったから」買ってること増えてない?もしくは「テレビで紹介してたから」とか。

知り合いの塾の先生は生徒から「何時間勉強すればいいですか?」「どこを勉強すればいいですか?」と訊かれるという。自分で考えて自分で決める経験がないと常に答えやゴールがあるものだと思ってしまう。

 

AIや専門家がいろんなものを紹介してくれるようになるのは便利だけど、あくまでもそれを最終決定するのは自分の意思だということを忘れないように生きていきたい。というか、そこが消えた人は本当の意味で「生きている」といえるのだろうか。

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