2012年に本屋大賞も取ってるし、映画化・アニメ化もしているから有名なのは百も承知で、それでも伝えたい良さがある。
内容を知らない人向けに軽く説明をすると、出版社の辞書編纂室で国語辞典を作る人達の物語だ。
国語辞典に載せる言葉を探す為にカフェの隣の席の会話から気になった言葉をメモしたり、辞書の1ページに収める為に説明文を推敲したりと、辞書編纂のリアルな場面がそこかしこに出てきて三浦しをんの取材量の凄さを思い知る。
そして何より、辞書を作っている人達の会話を書いていることが凄い!
登場人物たちは国語辞典を作っているのだから語彙力が人一倍優れている訳で、その人達の会話の中に出てくる言葉が一般人に馴染みのない言葉や表現だったりするのだ。
だからその会話を頭で想像できている三浦しをんが凄まじいと感心する。
「忖度」って言葉も話題になる前にこの本から知ったもんね。
その他にも『仏果を得ず』から文楽の世界を知って『神去なあなあ日常』で林業の世界を知った。小説家ってそういうものだって言われればその通りなんだけど、知らない世界のことに興味を惹きつけてくれる三浦しをんの作品が、僕は大好きだ。