映画『家族を想うとき』を観た。
夢のマイホーム購入へ配達業を始める父親と介護福祉士として働く母親。
しかし家族の幸せを求めて始めた仕事なのに家族で過ごす時間は少なくなり、それは子供たちの成長にも影響していく。
真面目で優しい性格と罰金の規則のおかげで仕事に穴を開けることもできず、更に苦しみが増してしまう。
観ていて本当に辛くなる映画だった。
そしてその辛い理由はただ映画に感情移入したからではなく、この家族のようなことが僕らの手の届く範囲で実際に起きているだろうと想像できてしまうからだと思う。
ケン・ローチ監督の前作『私はダニエル・ブレイク』にも通じるが、世の中はどうしてこうも社会的弱者に対して冷たいのだろうと考えさせられる。
もちろん明るい場面が一切ない訳ではないんだけど、明るく楽しく過ごせたはずの人々が苦しめられてしまう構図がより観客の心をえぐるんだろうな。
理不尽に貧しい暮らしを強いられる登場人物に同情しながら、僕らはその搾取に加担していることも自覚しなきゃいけない。
amazonで欲しいものを安易にポチポチしている僕らは時間指定に追われる配達業者の姿や荷物を車に積む集積所の疲弊を想像できているだろうか?
仕事で忙しいからと言い訳をして子供を保育園に預け父母を老人ホームや介護施設に頼むだけでそこで働く人々の苦労にどれだけ共感できるだろうか?
「送料無料」「即日配達」という宣伝文句の向こうにも働く人がいることをたまには思い出してみてはどうだろう。