ソートベーカリー

小麦粉をこねてパンを焼くように、頭の中で考えたことを文章にしていきます。

はじめてのおもてなしパン

ドイツ映画「はじめてのおもてなし」を観た。

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それぞれに問題を抱えた家族が1人の難民を受け入れることで繋がりを取り戻していくハートフルな映画。

と書いとけばまぁそれなりに物語は予想がつきそうなものだけど、それだけじゃない。

 

難民が増えるドイツ社会、難民に恐怖感のあるドイツ人、ドイツ人に恐怖感のある難民、将来の見通しが立たない娘、仕事中毒で子供を蔑ろにする父、どこから見られているかわからない監視社会、などなど様々な社会問題をふんだんに盛り込んだ“コメディ映画”になっている。

 

小難しい映画なんて見る人は少ない。日々の生活や仕事に疲れた人々はエンターテイメントに“楽しさ”しか求めていない。

だからこの映画が刺さる!

わかりやすい物語とはっきりした登場人物のキャラクター。その中に散りばめられた今のドイツの社会問題。つまりドイツに暮らす人々が抱える“あるあるネタ”が詰まっている。

笑いの中に事実が混ざっていて「こういうこと身近でも起きてるよね?」と思い知らされる。

 

これが重要。

湿っぽいものは誰も好まない。だからこそ楽しいものの中に少しのシリアスを紛れ込ませる。

子供が嫌いな野菜を細かく刻んでケーキに混ぜて食べさせるみたいなテクニック。

 

日本のエンターテイメントにはこのテクニックが足りないのかも。純粋に美味しいケーキが次から次へと提供されてきて、止めどなく食べ続けてしまっている。少しでも苦味を感じればクレームの嵐。

糖尿病はもうすぐそこですよ!