『ホビット 思いがけない冒険』の中でのガンダルフの言葉が心に響く。
旅立ちに尻込むビルボに対して窓を見ながらこう話す。
真の世界は本や地図の中にはない。
あの外にあるのじゃ。
これだけで胸熱。
ネットで読んだ知識で世界を語ることの愚かさを教えてくれる。
そしてこの頃あまり遠くへ旅行していない自分を恥じる。
もっと外に出ていろんなものを知りたいという好奇心が疼いてくる。
そしてもう一つ。
何故旅にホビットを連れてきたのかと訊かれ、「わからない」と答えた後の台詞。
普通の人々のありふれた日頃の行いこそが悪を寄せつけない元なのじゃ。
旅を続けて戦い慣れたドワーフ達にないもの、それはホビットの“日常”だという。
最近よく思う。
人々が毎日同じ時間に起きて仕事に出かけ、食事をして何事もなく眠りにつく。特別なことは起きなくてもこういった日常をみんなが平和に暮らすことが本当の幸せなんじゃないだろうか。
何故こんなことを最近考えるのか。それは近頃当たり前の“日常”が脅かされているように感じるからだ。
ライブやコンサートが軒並み中止になり、スポーツは無観客で行われ学校も休みに入った。スーパーからは物がなくなり、テレビは連日同じ話題ばかり。僕らの当たり前の暮らしがほとんど消えかかっている。
こんなのは間違っていると思う。日本中が辛気臭くなってどうする。それこそ“悪”の思う壺じゃないか。
こんな時こそ、ガンダルフの言うようにありふれた日々を普通に過ごすべきじゃないか。
僕はもうその名を呼ぶことをやめた。そして今まで通りの毎日を元気に健やかに過ごすことにした。みんなで“日常”を取り戻そう。