映画『聲の形』を観た。
ずっと前に漫画を3巻くらい読んだだけで存在すら忘れていたけど、今回映画版を観ることにした。
ここ1ヶ月、毎日手話を学んでいる身として、ろう者の話に興味があったからだ。
漫画でのイメージでは、昔ろうの女の子をいじめていた男の子が成長して仲良くなる話だろうなって思っていた。
まぁ、結論から言えばそれはその通りなんだけど、その過程や周辺に描かれるものがとても興味深かった。
“いじめっ子”と“いじめられっ子”というポジション以外に様々な存在があることが、丁寧に描かれていた。
例えば直接いじめに加担はしていなくても、その場でクスクス笑って見ていた子。
例えばいじめをしていた過去がある者を避けることから生まれる新たないじめ。
例えば障害を持つ姉に付きっきりで自分のことに目を向けることがなくなったきょうだい。
例えば起きたことに対してキツく叱りつけるクセに、起きる前の予兆に気付けない無頓着な大人。
そういった無自覚な行為や言動が、いじめを加害者と被害者だけのものにしてしまうことがある。
自分は学生時代にいじめなんかしていないと思っていても、あの時教室で起きていたことを本当に何も知らなかったのか?本当は気づいていないふりをしていたんじゃないのか?
そう自問自答する。
更にこの作品にはいじめや聴覚障害だけでなく、性差のことや国際結婚などの事情もやんわり入っている。
アニメ映画でとっつきやすいので、いろいろ考えながら見るのがお勧めだ。
あ、でも、悩んだらすぐに“自殺”をしようとする展開だけは、どうにも好きになれない。