ソートベーカリー

小麦粉をこねてパンを焼くように、頭の中で考えたことを文章にしていきます。

サーカスパン

Netflixで「殺人犯の視聴率」を見てる。

 

まだ前半しか観てないからネタバレしようにも出来やしないので安心して続きを読んでいいよ。

 

ざっくり言うと、90年代にブラジルのアマゾネス州で超人気の報道番組があって、それはその地域の治安の悪さや貧困問題なんかをモロに扱うから人々も我がことのように注目して観てる番組だったの。

警察に張り付いて犯人を追ったり、時には取材班が遺体を見つけてしまうことすらあって、司会のウォレス・ソウザって人は人気を博して、「この街の犯罪を減らさなくては!」と言って選挙に出馬、議員になって4期連続当選という熱狂ぶり。

だけどある日麻薬取引で捕まった男の「あの番組で扱った殺人事件の黒幕はウォレス・ソウザだ」という衝撃的な告発により立場が揺らぐというドキュメンタリー

 

なんだこの始まり方は!?と思うしかないよね。しかもこの後も関わるいろんな人物の裏が明かされていき、誰を信じればいいかわからなくなる。まさに事実は小説より奇なり

 

まだ前半しか観てない僕が感じたことが2つある。

 

1つは、みんなが支持するあの人も裏でどんなことしてるかわからないよってこと。

 

人気タレントが反社会的勢力と関わってたりコカインを所持していたり、国会議員が秘書にパワハラしてたり裏で献金を受け取っていたり、

そういうのが発覚した後で「裏切られたー!」って発狂する人に、そこまで深く信じてたのかと言いたくなる。

 

いや、好きでいること、ファンでいることはとても良いことだと思うけど、そんなに遠くにあるものを心の支えにしていると失った時に大崩れしてしまうよ!というね。

 

心の支えはもっと身近で安定したものである方が安心で、その上で好きなものを楽しめる余裕を持ったらいいじゃん?ってだけの話。

 

そして言いたいことの2つ目は、こんなに視聴者が熱狂する番組、日本にはないねってこと。

 

このブラジルの番組の場合は地域の犯罪や社会問題を扱っていたこともあって、住民全員に共通する情報源になっていた。だからみんなが当事者意識を持ってテレビに釘付けだった訳だけど、今の日本は良くも悪くも平和ボケしていて、扱うべき問題は山ほどあるのにそんな難しいこと考えたくない人が多いから、番組制作側もお気楽なものを作ることになるよね。当然。

 

ローマの時代から「パンとサーカスを与えれば民衆は満足する」と言われていることが、何でも安く手に入りテレビやYouTubeで笑っていられる今の日本にそのまんま当てはまる。

 

通勤電車の中で惰性でゲームしてる人に急に「日米安保どう?」「辺野古の工事は?」「年金問題について何か」と尋ねてみたい気がする。

 

Yahoo!のトップに芸能ニュースが占める割合が世界で一番高いという日本。先行き不安でしかない。

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