遅ればせながら映画「ジョーカー」を見た。
物語が描くアーサーの物悲しさとか、バットマンシリーズとの関連性とかについては多分あちこちで語られているだろうからいちいち書かないけど、ちょっと感じたことがある。
純粋に「アーサーは悪だ」と怒れる人ってどれくらいいるんだろう?
うまくいかないことが長年に渡っていくつもいくつも重なって、少しずつ少しずつ溜まった水が不意に器から溢れてしまった男。
その過程を見ておいて単純に「殺人は罪だ」と言ってしまうのは浅はかだと思う。
だけどもしかすると世の中にはお金持ちで何の不満もなく充実した人生を送れている人がいて、そういう人は本気でジョーカーが「許せない!」と憤慨するのかも知れない。
あれ、けどさ、ここ数年はそういうのよく見るよね?
人を殺した犯人に対しても、交通事故を起こした人に対しても、不適切な親や教師に対しても、失敗を犯した芸能人に対しても、対応が良くなかった店員やスタッフに対しても、
みんなで吊るし上げて好き放題石を投げてるじゃんか!?
そんでもって少しでも「何故そうなったかの背景や経緯を見よう」とでも言うと「擁護するのか!」と怒りを向けたりするんでしょ?安易だよ。
この映画が売れていることは必ずしも思慮深い人が多いことには繋がらないことがわかった。
どうやらこの国の人たちは随分リッチなんだねぇ。