綺麗な本を選んでしまった。
買い物をする際に箱が壊れたものや賞味期限の近いものを選ぶ方が社会全体として良いことだと主張しておきながら、本屋で買おうとした小説の角が折れて黒くなっているのをなんとなく敬遠して綺麗な方をレジに持って行った。
恥ずかしい。
しばらく経ってからやっぱりそれは差別ではないのかと自問自答をしてしまう。
見た目が綺麗な商品を選ぶ人が形成する社会は見た目がいい人ばかり選ばれる社会に通じると思っている。
完璧じゃない人は見捨てられて当然だと言われているような気持ちになる。
前にとある工事で欠けた商品を省いている工程を目撃して、それが何か悲しいことのように感じてしまった。もちろん高品質をアピールする為に重要な工程なんだけど、欠けたものに存在価値は本当にないのかとあれから3年が経とうとする今も尚悩んでいる。
だから僕はいつもカバンの中に自社製品の欠けたパーツを忍ばせている。
この気持ちを忘れない為に。