2018年公開の映画『searching』を観た。
日本では大きな劇場での公開は少なかったものの、当時から多少注目を集めていたのは覚えている。その理由は、映画全編がPCの画面上で展開すると謳われていたからだ。
物語自体はシンプルで、ある日失踪した16歳の娘を心配する父親が必死に探すというストーリー。
電話をしてもテキストを送っても反応がない、そうだ今日はピアノのレッスンだったと先生に電話をすると「半年前に辞めましたよ」と言われる。だったらその間渡していたレッスン料はどうなったんだ?娘はいったい今何処にいるんだ?
警察に届け出て調査してもらいつつ、父親は娘のSNSのアカウントに入って最近の動向を掴もうと試みる。
正直言ってめちゃくちゃ面白かった!
着信が入る場面では今誰と話しているのかがわかり、メッセージを送る時はどんな会話がなされているかもわかる。一度書いたメッセージをまた消して書き直すなどのあるあるから主人公である父親の葛藤が感じられるようになっている。知らないことを検索したり、画像などを添付送信したり、ニュース映像が動画サイトで流れたりと、PC画面のみで展開するという要素が完璧な効果を発揮している。
そして何より、物語の最後の鍵となる伏線もちゃんと画面内に映っている。なんとミステリー作品としてもクオリティが高くて見応えがあるのだ。
是非これ以上のことを知ってしまう前に観ることをお勧めしたい。
また、この映画がSNS文化をうまく取り扱ったことにも言及したい。
娘の失踪事件は地域の大きなニュースになっていくのだが、話題が大きくなればなるほど不確かな情報が出回ってしまうという負の側面をうまく描いている。嘘の目撃情報が流れ、今目の前にいると言い出す者まで現れる。しまいには「実は父親が殺したんだ」などの心ない書き込みも増えるようになりしかもそれがネット上では信憑性を帯びていく。
本当にこの“誰でも何でも言いたい放題になってしまう現状”は早くどうにかすべきだと思う。
自分が面白いと思って書き込んだことが当事者を大きく苦しめる可能性があることを、僕自身意識しておきたいし、これからネットを使う子供世代にも教えていかなくてはいけない。