精神疾患って複雑だ。
一度「君は精神疾患だ」と言われてしまうと否定がしにくい。
否定したところで「まあいきなり受け入れるのは難しいよね」とたしなめられる。
相手の言い分がおかしいということを順序立てて話そうとしても「そういう思考は疾患の前兆」と言いくるめられ、そもそも聞いてもらえなくなる。
相手が多少なりとも知識がある場合ならなおさらタチが悪い。
医者でもないのに「精神疾患だと思う」と言ってしまうことはとてつもない危険性を孕んでいる。
ドラマや映画では正義の立場の人間が「精神病だ」と決めつけられて苦しむ展開がよくある。
一度そうなるとひっくり返ることはまずない。
だから何かしらの精神疾患を言い渡す時は細心の注意を払う必要がある。
そもそも“精神科”に関わる仕事ってなんか怖い。
だって、ある程度「自分はまともだ」って感覚がないと他人を診断なんてできないでしょ。
若しくは自分の精神状態を自分で把握して管理してるってことでしょ。
少なくとも僕にはできない。
“まとも”って何だよって思う。
誰だって何かしら得意不得意があって、好き嫌いがあって、暑さ寒さの感覚も違うし、腹が立つ立たないの線引きの差も全く違う。
そういう感覚が“全く”同じなんてことはなくて、人によってブレてて当然なのに、自分が正常だなんて言い切れない。
多分専門的な勉強をした人はそういうことの振れ幅がわかってるんだろうけど、それを自分が維持してるなんて傲慢に思えてしまう。
結局自分で自分を疑い続けられる人が1番信用できる。