漫画『約束のネバーランド』を読み終えた。
個人的に大きく感動したことがあったので、大きなネタバレのないよう書いてみる。
物語の設定として、孤児院で暮らす子供達がいて、1人ずつ里親に引き取られて孤児院を離れていく。
しかし実は里親などおらず、子供は「鬼」という存在に食べられるために殺されていたのだ。
その事実を知った子供達の脱出劇がこの漫画の大筋だ。
この時点で想像されるのは、家畜として育てられた鶏や豚が、人間に食べられるために出荷・屠殺されていく様子だろう。
作中には、主人公達がのびのびと育ってきた素敵な孤児院の他に、人権など度外視でまともな教育を受けることもない子供を大量生産する施設の存在も出てきて、そういう施設から出荷された人間は身分の低い鬼が食べるようだ。
スーパーで100g100円そこらで安売りされる肉と重ねることができる。
と、ここまでは多くの人が想像することだろうが、僕の琴線に触れたのはこの先だ。
人間が生き延びるために鳥や魚を採って食べなくてはいけなかったように、鬼も生き延びるために人間を食べているのだ。
誰もが食べなければ生きていけない。
毎日を健やかに暮らすために僕らは食べていかなくてはならない。
しかし、それが行きすぎて、あれも食べたいこれも食べたい、もっともっと食べたい、となってしまうと人間の身体は壊れてしまう。
一見ただの変わった設定の漫画に見えるが、現実に自分達がスーパーで当たり前に見かける光景と重ねると他人事ではなくなってしまう。
時には肉を食べないという選択をすることもあるだろう。
「命をいただく」ということは、動物の血や肉を自分の中に取り入れて健康体でいさせてもらう手段なのだ。
このことを自覚して、日々の食事と向き合って「いただきます」「ごちそうさま」と感謝を示すという、当たり前のことを再確認させてくれる漫画だったと、僕は受け止めている。