ソートベーカリー

小麦粉をこねてパンを焼くように、頭の中で考えたことを文章にしていきます。

カエルパン

アストリッド・リンドグレーンのやかまし村シリーズの中でこんな会話がある。

 

「もしかしたらあそこにいるカエルは王子様かもしれないわ」

「だったらあなた、あのカエルにキスをしてみなさいよ」

「嫌よ、カエルにキスをするなんて」

「それなら王子様はずっとカエルのままね」

 

はっきりとは覚えていないが、本当に王子様がカエルだったとしてもキスをするのは気が引けて誰もが助けてあげられないという空想の話がとても印象的だった。

 

そこで考える。

もし自分の大切な人がカエルになったらどうするか?

もし自分の近くに来てケロケロ鳴いているカエルがいたら、それが自分の大切な人だとわかるだろうか?

 

誰しもが困るはずだ。

だからこそ互いに取り決めをしておかなくてはならない。

例えば、目の前に現れた時にピョンピョンケロピョンピョンケロ…をずっと続けるなど自分を表す合図を決めておくのだ。

 

カエルならそれでいい。

しかしゴキブリならどうだろう?

ゴキブリの姿で不意に目の前に現れると新聞紙で叩かれてしまうかもしれない。

スプレーを手にされる前に素早く合図を送る必要がある。

同じところを素早くぐるぐると回り続けるなどだ。

 

カエルやゴキブリなら合図を送れるが、電信柱だったらどうしよう。

気づいてもらえる自信がない。

死ぬまでずっと電信柱の運命だ。

犬を飼っている人は気づいてもらえる可能性がわずかにありそうだ。根拠はないが。

 

こうやっていざという時に困ることがないように、日頃から様々なアクシデントを想定して、自分がどうすべきかを考えておかなくてはならない。

これは防災なのだ。