日本では文化・芸術分野に対するリスペクトが少ないと言われ、確かにそうかもなと思った。
現にこの度の世界各国の対応を見てみると支援策の規模とスピードに驚かされる。
その点日本政府の対応は未だ決まっていない。
正直言って情けない。
どうしてなんだろうって考えた時に、流行り廃りの早さを思い浮かべた。
昔はもう少し違ったんだろうけど、今は爆発的にヒットしても継続したファンはあまり付かずすぐに別の爆発的ヒットに乗り換えていくことが増えてるんじゃないだろうか。逆にいうとヒットの波を追えていないと話題に入れないから頑張って追ってるのかもしれない。
そしてもう一つ、日本では不祥事などでアーティストが逮捕された際にその人がこれまで残してきた作品を全て無かったことにしてしまう風潮がある。そんなの間違ってると主張する人も沢山いるのは承知してるけど、綺麗さっぱり無くすことが正義と考える人も沢山いる。
そんなことじゃ到底芸術へのリスペクトなんて言ってられないだろう。
又吉直樹の小説『火花』の中で
もし、世界に漫才師が自分だけやったら、こんなにも頑張ったか
周りに凄い奴がいっぱいいたから、そいつらがやってないこととか、そいつらの続きとかを考えてこられたわけやろ
もう共同作業みたいなもんや
一回でも舞台に立った芸人は絶対に必要やったんや
というセリフがある。
誰かの作品があって、それを見た誰かを刺激してまた作られていくのが芸術。だったらその前提のものを取り除いていい筈がない。
僕はあるアーティストをずっと好きでいる。
その歌手は少しだけヒットしたけど今はもう解散し表立った活動もしていない。
それでも学生時代になけなしの小遣いで買い集めたCDを今も時々再生することがある。そしてそれは今もなお僕の心を打つ。
どんな作品もなくなっちゃいけない。たとえ有名にならなくても何処かの誰かの中に残るんだろう。
だから、だからこそ文化・芸術の発信の場をなくしてしまってはいけないし、その表現を制限してもいけないんだと思う。