ソートベーカリー

小麦粉をこねてパンを焼くように、頭の中で考えたことを文章にしていきます。

賽銭泥棒パン

昨日の夕方の報道番組がたまたま目に入った。

 

トピックは「賽銭泥棒」2週間に3度も盗みに入った男が逮捕されたというもの。防犯カメラの映像には壊した賽銭箱に手を伸ばして小銭をかき集める姿が映っていた。

番組の調査では100件の神社のうち8割以上が賽銭泥棒の被害に遭ったことがあるという。

ある神社では「画期的な対策」を取っているということを紹介していた。

 

この「画期的な対策」というのが、なんと1日に数回こまめに賽銭を回収する時間を設けて、賽銭が入った箱を取り出し走って事務所に持って行くのだとか。何が「画期的」なんだろう…報道番組で取り上げる程か?

 

というか、この賽銭泥棒の話題の肝はそこじゃないような気がする。

神社の方は「数百円のことで捕まるリスクがあります」と言っていて、スタジオのキャスターも「こんなことで前科者にならないように」と話していたけど、そういうことじゃないと思う。

大したお金が手に入らなくても繰り返し泥棒に入るということは、それだけ困ってるってことなんじゃないだろうか?

例えばコロナ禍で仕事を失ってその日その日の生活が逼迫していた可能性はないだろうか?

 

さほど中身の入っていない賽銭箱の底の小銭を懸命にかき集める様子に僕は何かのっぴきならない背景があるような気がした。

「泥棒はダメですよー!」は誰でも言える。だけどその人がどんな状況だったかを調べるのが報道の仕事じゃないだろうか。

捕まった男性はその後警察に事情聴取されているだろうし、盗んだお金をどう返すかという話にもなっていくだろう。しかしこの番組がそういったところまで追いかけて続報を出すようにはどうも思えない。それは番組の作り手も演者も視聴者も興味がないから。悪い人を「悪い」と言えればそれで満足だから。

 

朝の情報番組も夕方の報道番組も基本的にどのチャンネルも似たようなトピックを表面だけ扱って深掘りはしない。たまたま見た1つのトピックでこんなことを考える視聴者なんか求められていないんだろうな。

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