ブレイディみかこ著『ぼくはイエローでホワイトでちょっとブルー』を読んだ。
特徴的なタイトルや印象的な表紙をどこかで目にした人は多いと思う。
とても良い本だったので自分の家族や友人にも読んで欲しいという気持ちで、まだ読んでない人の読むきっかけとなるように紹介したい。
ひとことで言えば、
令和版『君たちはどう生きるか』だ。
主人公の少年が様々な出来事に直面し、葛藤を抱え、そして成長していくというのがよく似ている。
しかも『僕はイエローで〜』は著者で少年の母親でもあるブレイディみかこさん自身の気づきや発見も描かれ、考え方をアップデートしていく姿がとても格好いいエッセイだ。
作中に描かれる人種差別や貧困問題や性差別は簡単に片付けられるような話ではなく、ブレグジットなど政府が決めたことがいかに一般市民一人ひとりに影響しているかを現している。
僕の妹は「難しくて途中でやめた」と言っていたが、はっきり言って全く難しくはない。
むしろ、各エピソードは短く展開も面白いのでスラスラと読めてしまうほどだ。
彼女に“難しい”と思わせた要素があるとすれば、先程出した「ブレグジット」に始まり「公営住宅」「移民」「補助金」「FGM」などの言葉から関連する社会問題についてだろう。それらがわからなければもしかすると登場人物の苦しみが理解できないかもしれない。
だけどもし読んでいる途中で自分の知らない言葉に出会ったら、いちいち調べた方がいい。僕はそうした。
なぜならここで取り上げられる問題について、一度も考えたことがないというのはちょっとマズいと思ったからだ。
それくらいリアルな現代社会を描いているし、そうやって考える要素を1つ増やすことで損することなど全くないのだ。
その上でもう一度言っておくと、この本は本当に読みやすい!あっという間に読み切ってしまって少し名残惜しくなるくらいだ。
おそらく今後家族で回し読みして感想を話し合うことになるだろう。とても楽しみだ。