ソートベーカリー

小麦粉をこねてパンを焼くように、頭の中で考えたことを文章にしていきます。

もうニュースなんか見なくてもいいパン

この頃「ニュース」なんか見なくてもいいんじゃないかと思うようになってきた。

 

これまでは、社会で起きていることの最新情報は知っておくべきだし、新聞や朝夕のニュースは毎日チェックするのが当たり前だと考えていた。「新しいもの」の複数形で「NEWS」だ。

 

だけどだんだんと気が付いてきた。
毎日発表される「今日の新規感染者数」に踊らされた人がどれだけいただろう?
目立つ有名人にどれだけのカメラが押し寄せただろう?
被災地の衝撃的な映像をどれだけの番組が流しただろう?
それらは本当に”今すぐ”知っておくべきことだっただろうか?


世界は物凄い速さで動き続けている。
新しい情報も秒単位で更新されていく。
そしてその情報の「アクセス数」が価値を持ってしまった為にクリックベイト(いわゆる釣り見出し)が横行し、正しさや速報性が疑問視されるようになってきた。

こうなってしまった現代において、本当に重要な情報は「最新情報」の中に埋もれていく、もしくはほとんど存在しない、という状態に陥ってしまっている。

 

だったらもうニュースサイトのトップ記事も新聞の1面もTwitterのトレンドワードも、「見ない」という選択をしてもいいのではないか。

 

決してこれは無知・無関心を奨励するという態度ではない。

日本で暮らしている以上日本の政治経済の動向がわからないとは言っていられないし、それは世界情勢との相対関係でもあるので世界の現状も当然重要な関心事だ。

社会に目を向けると、労働者や性的マイノリティや障害者などなど様々な角度から「人権」について考えるべきことは山積みで、それらを念頭に置かなければあっという間に時代に取り残される。

 

ではニュースを見ずにどうやってそれらの情報に辿り着くかが問題だ。

僕は情報の”深さ”に目を向けたい。

 

どういうことか?

NHKのニュースサイトを例に挙げてみる。

NHKニュース 速報・最新情報

このページを開くと一番上にその時最新の見出しが7つくらい並ぶ。今回はここを無視して、下へスクロールしていくと「NEWS UP」や「特集」という欄に行き着く。ここがめちゃくちゃ面白い

というのもここには、記者が時間をかけて取材をした”記録”が並んでいるからだ。それは表面的な情報でも旬の話題でもなく、深く考える価値のあるテーマだと言っていい。

 

こういった、長期に渡って詳しく調査された報道こそ、これからの僕らが触れるべき”本物の情報”なんじゃないだろうか。

日々の新規感染者数を知ることよりも、感染対策や自粛が引き起こす生活の変化、歴史上の感染症の発症と終息、政府自治体の対応の効果検証など、しっかり追いかけて知るべきことはある。

被災した瞬間の惨状よりも、災害の原因や被災者の支援、今後の対策など長いスパンで考えることが沢山ある。

選挙速報すら見なくていいかもしれない。20時ちょうどに各社競って当確を出さなくたって翌朝にでもまとまった結果を見ればいいし、何より大事なのは当選した議員のその後の仕事ぶりのはずだ。

 

今、大半の人たちは常にニュースの木から「何か」が落ちてくるのをひたすら待っている状態だ。そして定期的に落ちてくるその「何か」に一斉に群がって食い尽くししゃぶり尽くしてまた次の「何か」を待ち構えている。そんなことでいいのか。

しっかりと自らの足で調べてくれている”本物のジャーナリスト”がいる。僕らは彼らが残す”本物の情報”を見つけなければいけない。それくらいの苦労はしてもいいはずだ。

f:id:mumusanopinojr:20211130225732j:image