ソートベーカリー

小麦粉をこねてパンを焼くように、頭の中で考えたことを文章にしていきます。

寄り道をしてほしいパン

今日、ジブリパークが開園するという。

 

ディズニーランドやUSJなど日本のテーマパークは元々人気があるけど、近年はさらに拍車がかかって「ガチ勢」と「SNS」の台頭が状況を大きく変えたように感じる。

つまり、小さな子供が初めてのディズニーランドに感動している横を大人たちが走り抜け、一目散に目当てのアトラクションに並んだりショーを予約したりグッズを手に入れたり、せっせと"こなすべき事"に勤しんでいるのだ。

なんというか、もはや楽しんでいない。

 

まぁ昔からテーマパークを効率よく周るための攻略本もよく売られていたから、そういった情報がネットで出回りやすくなったというだけと言われればそうなのかもしれない。
せっかくのテーマパークという非日常をなるべく充実させたいという気持ちを否定もできない。

 

しかしそれでいいのか。
事前に全てわかった上で、入場と同時にダッシュして、誰よりも早く見て回って、SNSに写真を載せて任務完了!
本当にそれでいいのか。

 

例えば、どのテーマパークでも、エリア間の通路などそこかしこに装飾や小物が置かれている。中にはファンならわかるようなモチーフが施されていたりもする。
目当ての場所に一直線でいるとこういう作り手の遊び心に気づく機会がなくなってしまう気がする。
もしくはそういうポイントすらすぐにSNSで拡散されて見るべき目的の一つにされているかのどちらかだろう。

つまり、こういったテーマパークの周り方は「目的地」を辿るばかりで「寄り道」がないのだ。

 

つい最近、ディズニー作品の『カーズ』を見直してみた。
マックイーンが迷い込んだ田舎町ラジエーター・スプリングスはかつて大陸横断する車たちの休息所であり、情報共有や交流の場でもあった。しかし近くに高速道路が通ってからは立ち寄る車が減り、今では誰からも見向きもされない寂れた町となってしまっている。
『カーズ』ってこんなに本質を突く話だったかと改めて気づかされた。

テーマパークの攻略法を載せた本やサイトはまさにこの高速道路そのものだ。素早く目的地に辿り着かせてくれるものの、途中に起こりえる楽しみを全て奪ってしまう。

 

話は戻って、今日開園したジブリパークには当然小さな仕掛けが山ほど用意されていることだろう。

2年前にジブリ美術館に行った時に書いた(

子供はそうなるパン - ソートベーカリー)ように、ジブリの仕事へのこだわりが半端じゃないことをよく知っている。

だからこそ、誰かが敷いた高速道路を辿るのではなく、ジブリが用意したありとあらゆる要素に「寄り道」してほしいなと感じるのだ。