ソートベーカリー

小麦粉をこねてパンを焼くように、頭の中で考えたことを文章にしていきます。

エストニアパン⑫ディオン

ホステルに戻ると図体の大きい男性が部屋にいた。ニュージーランド人のディオン。2019年に日本で開催されるラグビーワールドカップが楽しみだとニュージーランド人らしい発言をしていた。ラグビーが楽しみすぎて2020年にオリンピックがあることは知らなかったくらいだ。あまりに大きな荷物を持っているので話を聞くとなんと世界中を旅しているのだとか。せっかくなのでインスタグラムのアカウントを教えてもらうと、本当にニュージーランドからアフリカ大陸に渡り、ヨーロッパに飛んで転々とした後、今はエストニアにいるという。どうしてそんな旅をしているのか尋ねる。すると笑いながら「長い話になるけどね、簡単に言うと全部棄てたくなったのさ」と答えてくれた。仕事を辞め、家族もいないので、バイクも家も何もかも全て売り払って旅の資金にしているんだと。マジかよ。そんな話日本で聞いたことがない。だけど確かに今いる環境が苦しくなったら思い切っていろいろなくしてしまって新しく生きるという選択肢は大事だなと教わった。

 

二人で街のスーパーへ夕食を調達に行く。果物とレンジで温めるおかずを買ったんだけど、ホステルの共用キッチンのレンジの使い方がしばらくわからず食事ひとつにこんなに苦労するかと驚いた。

 

寝る前に好きな番組『ザ・ナイト』を視聴。余命宣告された人たちの話だった。死が目前に迫った彼らの「みんな明日が来ると思って生きてる。僕らはそんな保証がないから何も後回しにしない」という言葉が胸に刺さった。高橋優の『誰が為に鐘は鳴る』を聴く。よし、やり残さないように生きよう。