ソートベーカリー

小麦粉をこねてパンを焼くように、頭の中で考えたことを文章にしていきます。

エストニアパン⑭バベルの塔

夕方になり、ディオンと食事に行く。エストニア料理のレストランだ。あちこちでよく見かける定番のSAKUビールとポークチョップのようなものを頼む。ドイツ料理っぽくておいしいし、1人前の量が多いのもドイツ並みだ。

ディオンは友人の韓国人から「すごい」という日本語を教えてもらったことがあるらしい。僕は「すごい」は映画でも景色でも人に対しても料理に対しても万能な言葉だからあまり好きじゃないと話した。何がどうすごいのかを説明するのが言葉の良いところで面白いところだから一言で感想を伝えるのは雑だと。その後は、好きなコメディアンや、自分の家族、日本で頻発する大きな地震など様々なテーマで自分の考えを話すことができた。意外と英語でコミュニケーションが取れていることに自分で驚いた。

胃が膨れたので2人で街を歩くことにした。地図を見ながら「ここ行ってみる?」と問うとディオンは「May be tomorrow」と言う。面白そうな看板を見つけて「入ってみる?」と問うと「May be tomorrow」と言う。絶対行かねーだろ!

ホステルに戻るとドイツ人のクリストフがいて、今度はドイツ語での会話に励む。今日は海に行ってきたんだと話しながら、今日は海に行っていたことを思い出し、あまりに充実した一日であることに自分で驚く。

 

ホステルの共用スペースの机で、タルトゥで買っておいたポストカードにメッセージを書く。家族や友人に向け、何か面白い報告ができないかなと一生懸命考えているのに後ろでインド人のカップルがイチャイチャしていて集中できない。何を言ってるんだろう。

カップルがいなくなり、ようやくメッセージを書き終えたところで、共用スペースに10代の若者がぞろぞろと入ってきた。何の団体だ?修学旅行か?などと考えながら様子を伺っていると、椅子を円形に並べ、全員が中央を向いて一人の掛け声をきっかけに3つ隣の人が何かを話し、また3つ隣の人が・・・と続いていった。何かのゲームだろうか?エストニアせんだみつおゲームみたいなことをして盛り上がっているように見える。たまらず「何をしてるの?」と話しかけてみた。が、エストニア語で話されるので全くわからない。彼らも遠くアジアの地から来た観光客に丁寧に教えてくれようとしているのはよーく伝わってくるのだが、何一つわからない。彼らとのコミュニケーションを諦め、寝ることにした。