ソートベーカリー

小麦粉をこねてパンを焼くように、頭の中で考えたことを文章にしていきます。

エストニアパン⑳エストニアの特徴

朝はリンゴを齧りながら予定の時間まで待機。実は旅に来る前に僕の勤める会社と取引をしているエストニアのメーカーの社長のアントンと会う約束をしていた。仕事ではなく観光としてタリンに行きたいと話すと案内してくれると申し出てくれたのだ。約束の時間にホステルから出るとちょうどアントンが待っていた。早速ついて歩くけど、とにかく歩みが早い。その上とにかく話が止まらない。スタスタと歩きながら相槌を打つけど、正直会話が繋がっていたのかは不安だ。ロシア出身のアントンになぜエストニアで創業したのか理由を尋ねると、やはりEU諸国への輸出入がしやすいことと、エストニアが起業しやすいことだと教えてくれた。

 

市街地を歩いていると灰色で四角い建物が並んでいることに気が付く。これはどうやらソビエト時代に建てられたもので社会主義の名残なんだとか。

そして旧市街地に入る。これまでの旅で歩きすぎたせいもあって、知ってる場所ばかり周っていたけど何も言えなかった。ここ来たよ、もう見たよとは言いづらい。ただ、最初に見たリトルピープルのいる古門の裏に階段があり、そこを上るとなんとカフェが!城壁に沿った狭いスペースでコーヒーをいただく。これは案内してくれなきゃわかんないわ。

 

その後また雨が降ってすぐに止んだ。アントンはポケットに小さな折り畳み傘を忍ばせていた。この8日間で僕もエストニアの天候についてよくわかってきていた。そもそもエストニア全土に山が少ない。電車やバスの車窓からまっすぐに遠くの平野が広がっていた。つまり雲は風に乗ってすいすいと流れていく。そうやってさっきまで晴れていたところにも雨雲は来るし、雨雲はすぐに去ってまた青空を見せてくれるという訳だ。だからアントンのようにエストニアで暮らす人は大抵折り畳み傘をいつも携えている。勉強になった。

 

さらに行くと観光客が行列を作っている店を見つけた。どうやらタリンで有名なチョコレートメーカーで必ず皆お土産を買っていくんだとか。そのチョコレートを見て気が付いた。これ、僕が最初に買ったチョコレートだ!偶然にもそのメーカーのチョコレートをしっかりお土産にしていた。目の前に『地球の歩き方』を持ってこの店に来た日本人のカップルがいたが、ガイドブックなしで辿り着いていたことに無意味な優越感が芽生える。

 

その後も旧タリンの港だった場所の門を案内してもらい、イタリアンの店で昼食を摂ることにした。エストニアは基本的に仕事時間が短く、午前中で終わりという日もあるという。僕は前に勤めていた会社で23時まで働いていることが普通になっていたことなどを話すとそりゃ驚くよね。当時の悪い生活から抜け出せた僕は本当にラッキーだったと思っているし、今の環境に物凄く感謝している。だけどそうやって働く環境の悪さに悩んでいる日本の若い人は多いはずだ。

 

食事が終わるとアントンは「家族のところに行かなきゃいけないから」と去って行ってしまった。

えーーー!えーーー!