ソートベーカリー

小麦粉をこねてパンを焼くように、頭の中で考えたことを文章にしていきます。

エストニアパン㉑多面的タリン

突然一人にされてしまったのでまだ行ったことのない道を選んで歩く。辿り着いたのは移民のマーケット。野菜が乱雑に並べられ決して綺麗な所とは言えないし、絶対に観光客は来ないようなエリアだけど、確かにここにも住んでいる人達はいる。生きている人がいる。

 

ラジオ代わりに自分のスマホに残っていたボイスメモを聴く。ちょうど2年前の同じ日、前職で勉強の為に録音しておいた自分の営業音声があった。確か伸び悩んでた頃で盆休みにリフレッシュしてきて早速契約を取れたことに帰り道思わず「よっしゃー!」と叫んだことまで鮮明に覚えている。

 

Rimiで買い物。レジで前にいたアジア系の客がユーロに慣れていないのか財布の中身をひっくり返して“細かい小銭から多く選んで取らせる方式”で支払いをしていた。なんだか偉そうな態度が嫌だったから、次のアジア人は丁寧に払うぞと妙に気合が入った。

 

更に広い公園に着くと犬の品評会をやっていた。ルールはよくわからないけど、優雅に歩いている犬と飼い主を審査員らしき人が指さすと会場が盛り上がっている。優勝者には犬より大きな袋のドッグフードとトロフィーが与えられていた。こういった競争の世界って犬はどれくらい望んでるんだろうな。人間の満足の為の競争ほど悲しいものはない。

 

この日がエストニア最後の夜だ。街の中心部で店が並んでいる。どれに入ろうかと直感で選んだ1軒はなんと階段を上ると屋上テラスがあるではないか!しかも見渡す限りこの辺りではこの店だけのようだ。大当たり!ビールとビーフステーキを頼み沈む夕日を眺めながら優雅なひと時を過ごした。

調子に乗って店員さんと写真を撮ろうとしたら断られた。