東京おもちゃショー2022に行ってきた。
今年は商談開催のみで一般開催はされなかったが、SNSやテレビ番組の取材を通して広く周知されたと思う。
3年前におもちゃショーのおもちゃ大賞についてこんな記事を書いた。
mumusanopinojr.hatenadiary.com
この時指摘した「ボーイズトイ」「ガールズトイ」という部門は昨年廃止されたようだけど、改めて今年の大賞をチェックすると変わってない点も散見される。
おもちゃ大賞について|東京おもちゃショー2022 INTERNATIONAL TOKYO TOY SHOW
例えば、「AIが音声解析」とか「センサーに反応して喋る」とか「史上最大サイズ」とかって、あくまで大人が感心するものであって、子供の目線では正直どうでもいいことではないだろうか。
あと「キャラクタートイ」って部門があるけど、他の部門のおもちゃもキャラクターものばかり…。とりあえずアンパンマンとかすみっコぐらしをつけておけばいいって感じになってないか?個人的にはこのレジスターのおもちゃは遊び方に広がりがあっていいなと思ってるんだけど、すみっコぐらしがついていないバージョンはない。
会場では大手メーカーのブースにも入ってみた。なんと通路の前後左右でいろんな商品のコマーシャルが同時に流れていて、それぞれ担当者がマイクを持って大型スピーカーで喋っているからいろんな音が混在してて、パチンコ屋みたいだ。
僕なんかはいるだけでしんどくなるんだけど、ここの人たちは慣れてるからか、その場で名刺交換したり話したりしている。
こういう環境が当然だと思っている人たちの作るおもちゃが日本のおもちゃ業界を引っ張っているんだということが悲しくなる。
じゃあ、僕がどういうおもちゃを「良い」と思っているかを書いていきたいんだけど、単純に「子供の発達や安全について考えられたおもちゃ」だ。
たとえば今回ウッディプッディのブースで見かけたコスメセット。口紅やファンデーションなどの化粧グッズを収納するポシェットが付いている。このポシェットの紐、どこかに引っかかって子供の首を絞めてしまったときに自然と外れるようになっていた。
他にも、『はじめてのしょうぎセット』で、駒に動き方が示してあるのは最近よく見るデザインだが、その上簡単な遊びから始まり段階を踏んでルールを覚えていってもらいたいということから長く使えるよう説明書が丈夫に作られていた。
木のおままごと 知育玩具 ウッディプッディ 【公式】
地味なポイントと思われがちだけど、子供の発達過程がそんなに大きく変わるはずがなく、去年の3歳のおもちゃになかった要素を今年の3歳のおもちゃに搭載する必要なんてない。
だからこそ、本当に評価されるべきは「これまでにない新しいもの」ではなく「これまで起こりえたマイナスを補完するもの」だと思うのだ。
Twitterで「おもちゃショー」と検索してみると、「ウルトラマンの劇中アイテムを忠実に再現してほしい」「おもちゃにもAIってすごい」「マジンガーZのフィギュア(¥12,980)」などなど新作おもちゃに反応しているのは"大人"だし、取り上げられる大手メーカーがターゲットにしているのも"大人"であることがわかる。
もちろん「好き」でグッズを集めることを否定する気はないけど、その「好き」を利用して儲かればいいというメーカーのやり方はどうなんだと感じることはある。
そういった「大人が喜んで買い集めるおもちゃ」と「子供の発達や安全について考えられたおもちゃ」の呼び方と立ち位置をしっかり分ける必要があるということ、そして後者について大人がもっと真剣に考えることが大切じゃないだろうかというのが僕の今のところの結論だ。